About all

 


「お前ってさ、俺のどこが好きなんだ?」


お世辞にも広いとは言えない俺の部屋で、お互いの居場所はベッドの上と下。
胡座を掻いて座るレグルスは雑誌に夢中で背中を向けたまま。


「んー、分かんない」

「あっそ」


俺の声が耳に入ったのかすら怪しい返答。
なら何故俺に付き合ってくれだなんて言ったんだ、お前は。そんなこと女々しくて聞けやしないけど。
大体、俺は返事に何を期待してたんだ。馬鹿馬鹿しい。


「だって、」

「…だって?」

「全部好きだから、どこ、って聞かれても分かんないよ」


雑誌を置いて振り向いた笑顔を直視できなくて、顔を逸らしたら耳元で大好きだなんて囁かれた。



(A;about all=大体全部)




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