melancholy
「あんまり大きい声出すと外に聞こえちゃうよ?」
そう言って唇を重ねてくるレグルスは、猫というより獰猛な獅子だ。
迎え入れた矢先 玄関の壁に押し付けられて、好き勝手に事を運ばれた。
未だ晴れない淀んだ心情で、抵抗する気も起きないまま、それを受け入れる。
獲物を捕らえて上機嫌なその眼は正直に欲の色を映していた。
「がっつくなよ、この獣…」
二人の間を繋ぐ銀糸がゆっくりと切れた。
シャツの隙間から侵入してきた手が横腹を刺激して肩が跳ねる。
自分より少しだけ熱を持ったそれが、今の憂鬱な気分には心地良かった。
「カルディア」
「…なに」
「嫌なら嫌って言わないとやめないよ?」
言ったところで大人しく止めたりしないくせに。
――拒否するつもりも、無いけれど。
「……好きにすれば」
「うん。じゃ、好きにするね」
耳元に、首に、啄むような口付けを繰り返す。
くすぐったさに反応を返せば、手はいつの間にかベルトに伸びていて、金属音を立てながらその枷は外された。
(M;melancholy=憂鬱)