*R15







「…好きって言えよい」
「…ムリです」


物事は必要な時にきちんと言わないと、伝わらないときがある。
いくら心の中で思っていたとしても、相手に伝わらないと何の意味もない。
でもそれは僕には難しいことで。
いつも、言いたい事は言っているはず。
でも、こんなこと、今さら面と向かって言えるはずなくって。






「お前、マルコと喧嘩でもしたのか?」
「え、そんなことないよ…多分」
「だって見てみろよ…サッチが死にかけてる」


最近、マルコがおかしい。
毎日のように僕を監視紛いのことして、僕にちょっかい出して、それに対してサッチがちょっかいだして…
それが近頃無いのだ。
寂しい?いや、ちゃんと自分の仕事が自分の力で出来る。
(仕事に集中できるけど、いつもと同じじゃなくて調子が狂う)


「…僕、一人で洗濯出来るし、甲板掃除も出来る」
「まぁ雑用係りだしな」
「でもいっつもマルコが居て、ちょっと失敗すると助けられてて」
「まぁお前頑張りすぎるとこあるし」
「別に、それが嫌なわけじゃなくて…」
「うん」
「むしろ傍に居てくれて嬉しいっていうか」
「ほう」
「毎晩部屋に来てたのにそれが無くて寂しいとかそんなんじゃなくて」


ぐるぐる、もやもや。
何を言わせるんだエースは。
一緒に釣りをしようと誘われて、今日はもうシーツも干したし、自分のする仕事は終わってるからOKしたのに。
僕用の釣竿がなくてエースしか釣りをしてないのってなんで?
で、なんでお悩み相談会みたいになってる。


「何言ってんだろ、僕」
「んーそれってさ、」
「うん」
「マルコのこと、大好きってことなんじゃね?」
「は?」
「だから、一緒に居てほしくて、それが無くて嫌なんだろ?好きだからだろ」
「……」
「マルコっておっさんのくせにモテるらしいぜー?」
「……あ、エース!ほら、引いてるよ!逃げちゃう!」
「お!やべっ」


エースに諭されるのはなんだか癪だったけど、少しドキッとする。
エースと話している間も甲板にマルコが居ないか探してしまう自分が居ることも自覚していた。
それは見張られているんじゃないかっていう嫌悪からではないのは確かだった。
マルコを探すのに目を離しているとエースの竿がかなり引いていて、エースは立ち上がって釣竿を思いっ切り引く。
意外に大物なようで、エースが船から落ちそうになる。


「危ないよエース!」
「て、手伝えハルカ!」
「う、うん!落ちないでよ?!」


ぎゅっとエースの腰に手を回して必死に支える。
一応大人な男が2人分の重みと力が掛かっているはずが、自分の足が若干浮く。
で、デカすぎなんじゃない?この獲物!海王類か!


「や、やっぱりー?!」
「うっしゃ!今日の晩飯はこいつだな!ハルカ、避けろよ!」
「!こっちに飛ばさないでー!」


エースによって釣り上げらた海王類が、エースの鉄拳(火拳?)によってぶっ飛ばされ、エースを支えてた僕に降りかかる。
自分より遥かに大きい海王類を、ただの雑用係りのひ弱な元高校生がどうにか出来るわけない。
所詮、そんな自分が避けることも出来ない。
馬鹿でかい海王類の影が自分の頭の上に来たとき、船内から出てきたであろうマルコと綺麗なナースが見えた。
(…あんな綺麗な人より僕が好きだなんて嘘に決まってる)
くるであろう衝撃にぎゅっと目を閉じて備えた途端に身体が宙に浮く感覚。


「…大丈夫かよい」
「…あれ?痛くない」
「ハルカ!大丈夫かー?!」
「エース!こいつが避けれると本気で思ってたのかよい!」
「ま、マルコ…?」


絶対にあの海王類の尾鰭の部分が僕の頭に振ってくるものだと思っていた。
それなのに僕は悩んでいた原因のマルコに抱き上げられているのは何故でしょう。
ついでに、エースが思いっ切りマルコに踏みつけられているのも何故でしょう。


「ご、ごめんなさいマルコ様」
「わかったらいいんだよい。ハルカは借りてくよい」
「え?!僕、借りられるの?!」
「どうぞ!てか持って行って!」
「エース!助けて!なんかマルコが変だから助けて!」
「誰が変なんだよい!」
「確かに髪型とか変だけど俺には無理!じゃあなハルカ!」
「え、エースゥゥゥ!」


に、逃げられた。
さっきの馬鹿でかい海王類持って、逃げられた。


「さぁ覚悟しろよい」
「ご、ごめんなさい?」


マルコに横抱きにされたまま部屋に連れて行かれ、ベットに落とされる。
にやりと笑う顔が雄の顔をしていて大人の色気にドキッとし、身を固める。


「で、そろそろ言う気になったかよい」
「あ、あのナースさんは?」
「ナースがどうかしたのかよい」
「いや、あの、えと……んッ」


両手で体を支え、視線を逸らしながら口籠れば無防備な口がマルコので塞がれる。
唇を舌で舐められ、口内に長い舌が侵入する。
逃げる小さな舌を捕まえて絡め、口端から飲み込み切らなかった唾液が零れる。


「…あぁ、嫉妬でもしたのかよい」
「ん、ふ、あ…んちゅ、んぅ」
「言うまで可愛がってやろうかねぃ」
「あ、マル…ッんぁ」
「俺はお前しか見てないよい」














「ひゃ、あ、あ、あッ…マ、ルコッ」
「…なんだ…よいッ」


マルコの部屋の2人で寝るには少し小さいベットが軋み、ハルカの小さな身体がマルコの律動によって揺れる。
背中に手を回して肉付きの良い肩に額を押し付ける。


「ん、あ、あ、す、きぃ…ッ!」
「!!…なんてタイミングだよい」
「ひゃぁ!なか、おっき…ぃッ」
「煽るんじゃねぇよい…ッ」
「あ、あ、アアッ!!!」
「…ッく!」


どくどくと熱いモノが中に流れ込んでハルカはそのまま意識を失うように眠りにつく。
髪留めが外れて枕に散らばる蜂蜜のように艶やかな長い髪を梳くっては頭を撫でる。
目尻に溜まった涙を吸い取って額に口づけを落とす。
何度も繰り返せばハルカの豊富なまつ毛がゆっくりと持ち上がりぼんやりと目が合う。


「まるこ…」
「起きたかよい」
「僕のこと、すき?」


とろとろになった頭と、回らない舌で話す。
マルコは一瞬目を開いて驚くも微笑みながら頬を撫でた。


「…好きだよい」
「そっか、」
「なんだい、もう言ってくれないのかよい」
「じゃあマルコがもっと言って」







好きって言って


(そうしたら最大級の愛をあなたに)


***
三日月主。
某少女マンガと某腐女子マンガからインスピ。



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