日本では花粉が飛び回って、くしゃみが止まらないようなそんな暖かい日にわざわざ花粉症のないイタリアから仕事だからと日本に来た。
ツナのとこのリボーンさんにうちのボスが直接会ってなにやら恐い話をしていた。
俺はまだマフィアの話に疎いからツナと一緒にちびっこの相手をしていた。



「ごめんね、ハルカくんまで遊んでもらって…」
「いいよ。ここでツナといろってボスに言われたし」
「そういえばこの間ディーノさんが来たときはハルカくんいなかったよね?」
「あ、そのときは日本のが危ないし恭也?って人を見なきゃいけないからってお留守番だった」
「そ、そうなんだ(雲雀さんには会わせないんだ…)」
「ガハハッ!ランボさんハルカにチューするぞっ!」
「えー!いきなり何言ってんだよランボ!!(殺されるぞ!?)」
「?いいよー?ほらおいで」
「ええ?!いいの?!(それは非常にやばいと思うよ!?)」



まぁ子供だし、ほっぺにぐらいだろとランボのぷにぷにした頬にキスをする。
ツナは慌てふためいてたけどなんで?
ランボは嬉しそうにハルカにチューしてもらったー!と大声で走りまわっていた。
イーピンはそんなランボを何故か怒りながら追いかけてた。



「おいハルカ。ランボにキスしたのか」
「あ、リボーンさん」



いつのまに二階から降りてきたの?
ツナが青ざめてるけどなんで?
あ、ボスも降りてきたみたい。
今ものすっごい音がした。
(きっと階段で足を滑らしたんだなー)



「ガハハッ!ランボさんハルカにチューしてもらったもんねー!」
「…死ね(俺はまだしてもらってねぇぞ)」
「わー!!リボーンここで打つなよー!!」


リボーンさんが銃乱射してるよーランボ逃げろー
ぼーっとそんな場面を見てると背中に重さを感じた。


「ボス、大丈夫?」
「お、おう」
「今ロマーリオがホテルに荷物を…」
「それよりランボにキスしたのかよ」
「うん。子供だしほっぺに」
「ほっぺか…そっかならいいや」



そう言って俺の頬にちゅっとキスをする。
ツナたちがいる前でそんなことするなよと言わんばかりに俺はボスの顔を手で押しのけた。



「子供相手に嫉妬かよボス」
「ハルカのことになるとそーなるの」
「…あっそ(恥ずかしい…)」
「ハルカ…(可愛いー!)」
「くぴゃッ!が・ま・ん…」


どうやらリボーンさんがランボをいじめすぎたようで、泣きべそを掻きながらモコモコした髪に手を突っ込んで大きなバズーカを出した。


「ハルカくん、ディーノさん危ない!」
「!!」
「ハルカ!!」










ツナの危ないと言う言葉に反応して首に巻きついていたボスを突き飛ばし、俺はランボが放ったミサイルに当たった…はずなんだけど、ここはどこだろう…なんだか見覚えがある廊下だ。


「もしかして…家…?」


そっか、見覚えがあるはずだ。ここはイタリアの家だ。
でも10年後であるこの家はボロボロで、周りには知らない人の死体。
血の臭いと火薬の臭いが充満してて決して良い匂いとはいえない臭いだ。

あぁ人と人の殺し合いの場だ、ここは。

少し歩いて廊下の先に出ると見慣れた金髪が見えた。



「ボス…!!」
「ハルカ!?お前…10年バズーカか…寄りによってこんな時に…!」
「ボス、これは何?なんで家がめちゃめちゃなの…?」
「ハルカ、ここは危険だ。5分で戻れるだろうが避難を……ハルカ泣くなよ」
「だって、ボス、怪我…ッ」


泣き虫なのは昔からだったなと俺の頭を撫でた。
10年たっても大きな手で、太陽のように明るい髪もキラキラしていた。
至る所に怪我をしていてボスが怪我するほと酷い戦いなんだ。


「大丈夫だ。俺は死なない」
「ボス…」
「お前を残してなんか死なねぇよ」



太陽が陰るようにディーノの表情が曇る。
いたたまれなくなって俺はディーノに抱きついた。
離したらどこかに行ってしまいそうだったから。



「10年前は素直で良い子だったのになー」
「…ディーノ」
「もぉそろそろ5分かな…」
「ディーノ」
「向こうのみんなによろしくな」
「ディーノ!死なないでよ!10年後の俺が守るか…んッ…ふ……は」
「じゃぁなハルカ、愛してるよ」



今の俺が守れなくても10年後の俺が守るからね、と言いたかったのに口をボスの唇で塞がれて言えなかった。
途端、何かに引っ張られるかのような感覚になり、目の前が暗くなった。
暗くなる直前のボスの顔は何か悲しそうで、その原因が俺なのかなと不安になった。











目を開けるとツナの家で、床は血が付いてた。
俺、怪我してたんだね、だからボスは悲しい顔したんだ。
分かってたんだ…



「ハルカ、大丈夫か?」
「ディーノ…、あぁディーノディーノディーノ」
「あぁ俺はここにいる。大丈夫」
「ディーノが、怪我、してて、家めちゃめちゃで、それで」


涙が止まらない。
ディーノが抱きしめてくれるけど、それでも止まらない。
リボーンさんも心配した目で見ていて、ツナなんか泣きそうな顔してて、ロマーリオがいつの間にかツナの家に居て包帯を手にしてた。



「10年後のハルカに大体聞いた。大丈夫。大丈夫だから」
「うぇっ…ディーノぉ」
「ほら、泣くなよ」
「…ふ…っ…ん…ぁ」
「おいおいボス。ボンゴレが見てるぜ」
「ん、気にすんなよツナ」
「(えぇー!!気にするよー!)」



ツナの前でキスしちゃったよ…後で謝っとこう。
でも涙止まった。
恥ずかしくてディーノの胸に頭を押し付けてたら安心して眠たくなってきた…



「よく頑張ったなハルカ」
「あ、リボーンさん…」
「怖かっただろ。ツナの布団で休んどけ」
「お!じゃぁ俺も一緒に居てやるよ」
「ディーノヤル気でしょ。ツナの布団汚すからダメ」
「えー!!(何言ってんのハルカくんー!)」
「ちぇっ」
「(ディーノさん本気だったー!)」
「…でも連れてって」
「…かしこまりました姫様。」



ディーノは俺の額にキスをしてから横抱きにして階段を上がる。
ロマーリオがいるから俺を落とすなんてヘマはしない。
ツナが下から濡れタオル持っていきますねー!と叫んで、ボスが元気よく返事した。俺、よく見たらすすだらけだ…
ツナの部屋は相変わらずの汚さで、それでもリボーンさんに言われて片付けたんだなって感じだった。
ボスは俺をゆっくりとベッドに下ろし、またキスをした。



「ハルカ、お前は俺が守るよ。何年たっても俺はお前のそばにいる」
「ディーノ…」
「愛してる」
「…うん」
「…なにかして欲しいことあるか?」



俺はまたディーノに抱きついた。
強く強く抱きしめた。
離れないように。
そして声を絞り出すように言った。




「………………て」
「ん?」
「10年後も抱きしめて」
「……あぁ」



10年後変わらないままで
(あなたの名前呼んだら 抱きしめてね)








*『Story...』Bahashishi
前回同様主。
みんなに愛され!
10年後は拳銃使いになってればいい。



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