突然で申し訳ないのですが、僕秋野悠は只今身動きが取れない状況です。
後ろから口を塞がれて変な倉庫に連れてかれて、周りにはいかにも悪そうな外国人。
でもこの国はイタリアだから俺のが外国人なんだけど…ってそんなこたぁどおでもいい!
護身用のナイフ1本しか身に付けてないのにそのナイフも取り上げられて長身の男の手に…


「さて、ボスに連絡してもらおうか(※伊語」
「は?なに?(今ボスってのは聞き取れた!)」
「…チッ。」



髭面のおっさんが、俺がボスに持たされてる携帯を向けた。
あ、うちのボスに電話しろってか!
いやーまだボスに日常会話しか教えて貰ってないからさー
俺は携帯に耳を近付けてもらい、ボスに日本語で電話する。


「えっと、あ、馬鹿馬?」
『ハルカ!お前どこにいるんだよ!無事か?!つか馬鹿馬じゃねーって!』
「うん。大丈夫。でもなんかね、変なおじさんが何か言ってるんだけど何言ってんのか分かんねーの」



俺がそういうと髭面は俺から携帯を離してボスと電話し始めた。
きっと日本語だったから余計なこと言ってないか心配だったんだな。
つか買い物に行っただけで捕まっちゃうんだもんなー俺。
外は何が起こるか分からないから敷地から出るなって言われてたのに、こっそり出てきた俺。
なんでボスの言うことを聞かなかったんだ。
ちゃんと聞いてたら、こんなことにはならなかったのに…
あぁ、きっとこいつらに何か要求されてるんだろ?
俺のせいでボスに何かあったら大変だ。
拾って貰った恩を仇で返すようなもんだよ。
俺を捕まえた奴がボスとの電話を切ってから携帯をぶっ壊した後、何分かたった。
髭面はどんどん顔がニヤケてって、変態みたいになっていった。
(きもちわりぃ…)



「本当にラッキーだったぜ。こんな弱い奴がキャバッローネの弱点だったなんてよぉ(※伊」



何言ってるのか解らないまま俺は髪を掴み上げられて痛みに顔が歪む。
そんなとき、ドンッとドアをこじ開けようとしてる様な大きな音がした。
奴らはその音を聞くと物陰に隠れて銃を構えた。
こいつら、入ってきたボスたちを撃つつもりだ!
そしたらいくらボスたちでも死んじゃう…



「…ッ(え、また?!)」
「しっ。静かに。」
「…ふ?」
「大丈夫かよハルカ」
「…!(ボス!!)」
「あーあ。また泣いたのか?もー大丈夫だからな」
「こ、怖かったよぉー…」
「よしよし。さぁいくぜ?」



俺を誘拐した奴らは格下のマフィアだったらしく、あっさり潰れた。
だってボスは割れてた窓から侵入して俺を助けに来れたんだ。
それに気付かないぐらい阿呆だったってことだ。
(そんな奴に捕まった俺は一体…)(悲しい)
その後屋敷に戻って俺はボスにこってり怒られた。
ロマーリオも今日のおやつは抜きだって。
(今日は苺のミルフィーユだったのに!)



「ハルカはいったい何をしに外へ出たんだよ」
「いや、その…」
「…ロマーリオ!夕食も減らしてくれー」
「わかった!言います!ごめんなさい!だからご飯だけは!!」
「よーし」


ボスが廊下に叫んだあと扉を閉めてこっちを向いた。
そのまま俺が座ってる向かい側のソファーに腰掛けた。



「……の……だよ」
「何だって?」
「ボスのプレゼント買いに行ってたんだよ!!(ベタですいませんね!)」
「……」
「…なんだよ。なんか言えよ」
「(もーなんなんだこの子!可愛すぎだろ!)」



だってボスの目の前で買ったらバレちゃうじゃん。
ここはさ、びっくりさせたいじゃんか。
あぁボス怒ったかな…
(怖くて顔が見れないよ!)



「お前さぁ…」
「…!(やっぱ怒ってる?!)」
「俺を殺す気?」
「ちょ、なに!急に抱き締めんなーーー!!」
「…本当に、さ。そんなことしなくていいよ」
「ああそおかよ!面倒なことしてごめんなさいでした!だから離せ!」
「やだ」
「やだッてなんだよー!離せばか…ッ…ふ…ン」



馬鹿馬って言おうとしたらボスによって口を塞がれて情けない声が出てしまった。
抵抗しようとしても年上の力には勝てなくて、深いキスは気持ち良くてどんどん力が抜けていく。


「…ッボ…ス…」
「ディーノって呼べよ」
「…ディ…ノ」
「俺はお前がいたらそれでいいの」



だからプレゼントは夜たっぷり頂くからな。と耳元で囁いた。
あと、イタリア語も勉強しなきゃな。
といいやがって、ムカついたから思いっきり腹を殴ってその隙に部屋から逃げ出した。


「馬鹿馬の馬鹿ーー!!!」
「だから馬鹿馬じゃねぇってー!ってハルカー?!」







(ちょっとうれしくて)
また脱走







*前回と同じ主。
日本人だけどひょんなことでディーノに保護されキャバッローネの一員に。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -