真っ暗だ。
何もない。
(そして寒い、)
誰か居ますか?と叫んでみても、ちゃんと声が出てるのかも分からなくて、ああ、最悪だと座り込む。
怖くなんかない。
きっとこれは夢だから。
大丈夫。
目が覚めたら真っ暗な世界から抜け出せてる。
ただ真っ暗なだけなんだから。


「?」


床と思われるところに手を付いたら、何かにあたった。
何も見えないけど、人の肌と水のようだった。
ぺたぺたと触っていれば、それは確かに人の手で、腕を感じ、肩、首。
顔を感じ、髪を感じた。


「…!(もしかして…)」


だんだん目が暗闇に慣れてきて、顔と髪の感じが、知っている人の様な気がした。
嫌だと思った。
そんなことは絶対に嫌だと思った。
人の下には水溜り、きっとこれは血なんだ。


「ねぇ、嫌だよ…(お願いだから…!)」


暗闇でも分かる、太陽のような明るい金髪。
何度も何度も触った事のある、堀の深い顔。
自分の大切な大切な主。


「起きてよ!嫌だ…っ!」


必死に体を揺する。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
僕はアナタの為に生きてるんだ!
アナタに死なれたら僕は生きて行けない!


「僕は、ボスがいなきゃ、生きて、いけない、よ?」





「ねぇ、 ディーノ 」



どうしてわかってくれないの








「ハルカ?起きて?」
「ンぅ…でぃーの?」


目が覚めると、白いシーツの中に居た。
ディーノに涙の溜まった目を親指で拭われて、自分が泣いていた事に気付いた。


「怖い夢でも見たのか?」
「…別に。何にも見てないよ」


ああ、ディーノが居る。
死んでなかった。
そんな事を思いながら、ディーノの胸に顔を押し付ける。
髪がくすぐったそうだったけど、ディーノは僕の頭を優しく撫でる。



「大丈夫。生きてるよ。なんならもう1回愛してあげようか?」
「…死ねよ馬鹿馬ディーノ」
「ちょ、跳ね馬だって何回言えば分かるんだよ!」
「何回だって言ってやらぁ。馬鹿馬」



そしたら急にディーノは僕に覆いかぶさった。
ディーノはお仕置きが必要だなって言って、笑った。



「ハルカ、大好き」
「…うん」


ああ、生きてる。









*ツンデレ主。
ボスに依存依存。




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