薄暗く少し生臭い部屋に何かが擦れる音や水のような音がし、女のような喘ぎ声がした。
その声は女のように高い訳でもなく、男ほど低い声ではない。
それは酷く艶のある声で誰もが魅了するであろう魅惑の声。
古くなった土台はギシギシと悲鳴を上げ、2人の人間の動きに耐えていた。
一人の人間を組み敷いている男は前後に動かす腰を大きくし、絶頂を迎えようとする。
それを受けている人間は布を掴んでいた腕を男の太い首に巻きつけ耳元で囁いた。


「逝っていいよ」


絶頂を迎え至福の時を迎え入れようとした時、まぎれもなく堕ちて行った。
組み敷かれていた人間は上に乗ったままの男を蹴り飛ばし、床に転がす。
一糸まとわぬ姿のまま窓を開け、外にいるはずの男へと合図をし、そのままシャワーへ足を運ぶ。
何度も舐められ、汚された身体は後味が最悪だ。
汗ばみ火照った体を覚ますべくお湯が出る前の冷たい水のまま蛇口を捻った。


「ありゃー、今回はやけにキモいおっさんじゃねーの!情報屋さんよぉ」


浴室の外から「ケツ毛ぼーぼーだ!」と陽気な声が聞こえた。
先ほど外に居たはずの男、便利屋がどうやら部屋まで来たらしい。
その男の気配は死体から浴室へ足を運ぶ。
きっちり閉めていたシャワーカーテンを勢いよく開けて中にいた人物を笑顔で見る。


「…さっさと処理しろよ便利屋」
「えーそっちの処理のが先じゃねぇの?」
「はっ、あんたも逝かせてやろーか」
「じゃぁ先にイかせてあげる」
「あ!ンンッ…て、めぇ…ァあ!」


便利屋のごつごつした男らしい手が既に萎えはじめていた情報屋の性器を扱い始めた。
何度も上下に扱えばゆるゆると大きさを増し、先端を弄れば粘ついた滴が溢れだす。


「は、ぁ!…ふっ、ンン!」
「ほ、んとイイ声だなぁお前」
「あ、あ…ン、あッ……!!!」


くちゅくちゅと浴室に音が反響するくらい扱ってやれば立ったままの足が立っていられないほど震える。
肩に置かれた濡れている手すらも震えはじめ、先端を強く扱い、少し爪を立ててやれば全身が震え手のひらに欲を放った。


「はーい、上手にイケたぜぇ」
「はぁ…っふ、はぁ、どー、も」


掌のものを舐めてながら座り込んでしまった情報屋を見る。
情報屋は顔を赤くし目を濡らし、息の上がったまま睨みつけた。


「…あーお前バカ。俺も勃ったじゃねーか」
「仕事しろよ便利屋…て、おい」


便利屋はシャワーの蛇口を閉め、床に落ちていたタオルを情報屋の体に巻きつけてそのまま抱き上げた。
浴室を出れば気持ち悪い男の裸体が目に入るはずが、そこにはすでに何もなくただ古臭いベットがあるだけだった。


「全部ニックが片づけちまった後だ」
「……仕事がお早いようで」
「っもー、褒めんなってぇー」
「てめぇじゃねぇよ便利屋」


眼帯で隠れていない方の目を細めて笑う便利屋は抱き上げていた情報屋をゆっくりとベットに乗せる。
まだ濡れている髪や体がシーツを濡らす。


「…明日は金曜日なのに今日ヤル訳?」
「あら、明日金曜日?」
「あの女に電話出られたらお前の仕事もなくなるな」
「そりゃ勘弁だわー」


情報屋に覆い被さるようにベットに上がれば眉間に皺を寄せて言われた。
「てかよく知ってんなー」と首筋に顔を埋めれば「俺を誰だと思ってんだ」と髪を掴まれる。
強く引かれる髪に痛いと笑いながら答え、胸の飾りをきゅっと抓む。
びくっと震えた身体が強張り、こねるように弄ってやれば髪を掴む力が緩くなる。
顔を首筋から下へ下へと動かして手で弄るのとは逆の飾りを舐る。


「ひ、ぁ…ん、んっ」


女よりも艶やかな声が頭上から聞こえてくれば、下の方でもぞもぞと足が動きシーツを乱していた。
舌で転がし、たまに強弱をつけて甘噛みをしてやれば絶え間なく声が聞こえた。
胸を弄るのをやめた片手を脇腹から下へ持っていけば先ほど達したはずの物がまた欲を溜めていた。
少し手で扱ってやれば先ほどより大きな声が聞こえる。


「ああっ!や、ん…ふ、ぁ」
「かーわいいっ」
「んぁ!だ、れが…ッ!」
「お、まだイクなよぉー?」


きゅ、と根元を握ると声にならない悲鳴が聞こえ、欲を吐き出そうとする性器はふるふると震えた。
便利屋は空いているもう片方の指を情報屋の口内へ突っ込み口内を犯す。
散々掻き乱した後、ひくつくそこへと唾液で湿った指を這わす。


「ぅ、あッ…」


つぷん、と1本の指が中へと侵入する。
その指が内壁を擦るように撫でて、入り口を広げるように動く。
ぐちゅぐちゅと掻き回せばそこは直ぐに解れて2本目も侵入しバラバラに動く。
便利屋の長い髪を握る手が2本になり、弱く引かれる。
髪を結うゴムをほどかれバラバラと情報屋の肌に触れた。


「あー、ほどきやがったな」
「ひぁ!ああッ…!」
「んーさっきまであのオッサン挿ってたしいっか」


そう言って便利屋は中に入れていた指を引き抜き己の物をあて、一気に押し入った。


「は、…ンんッ…ああぁッ!」
「ッもー、さ、何回もしてんのにガバガバじゃないのがすげーわ」
「ふ、はッ…すぐ、逝かせて…や、るよッ下手糞」
「はッ、素直に気持ちいって言えよなァ」


ジゴロを舐めんなよォと片方の太股を高く持ち上げ動かす腰を速めた。
奥へ侵入しているそれは確実にいい所を狙い、攻め立てた。


「ひ、ああ…やぁッ…ンんッ」
「ほら…っ、イけよ『ベネット』」
「ひぁッ、あ、『ウォ、リ、ッく』…ッああ!!」


肌がぶつかる音が聞こえ、ギシギシとベットが悲鳴を上げる。
ウォリックと呼ばれた便利屋はベネットと呼ばれた情報屋を激しく揺さぶる。
ベネットから掠れた甘高い嬌声が幾度となく上がり、身体の芯が熱くなり互いに達する。
背中に回っていた手がパタ、とベットに落ちると胸に長い髪が広がった。


「…はぁっ、中で出しちゃった」
「し、ねよ。マジで」
「責任持って掻き出してやるって『ベネット』さんよ」
「…明日の仕事が出来ないくらいにしてやるよ『ウォリック』さんよ」
「はは、そりゃ勘弁」




君が望むなら



(いくらでもお付き合いしましょう)
(それが心苦しいことだとしても)




/
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -