05.ちび先生の苦悩。
教室にもいない。
当然の如く職員室にもいない。
あの実習生がサボる場所と行ったら、大体目星がついている。
保健室のプレート。
大きく息を吸う。
「水嶋 ―――― !!!!」
「うるさい」
「そーですよ。陽日センセ」
そこに目当ての人物がいたのはいいが、
琥太郎センセにまで怒られてしまった。
お前がいけないんだぞ!水嶋。
涼しい顔で笑いやがって…!
「郁に手を焼くのは分かるが、せめて保健室では静かにしてくれ」
琥太郎センセに勧められ、近くに会った椅子に腰かける。
「ん………」
誰かの寝起きのような声。
その方を見るとやっぱりカーテンは閉まってて。
「……起きたか」
琥太郎センセが自分の湯のみを机に置いて、ベットの方へ寄る。
「飛鳥、開けるぞ」
「……はぁ…い…」
まだ眠そうな声。
カーテンの奥にはやはり、眠そうな神田がいた。
「体調は?」
「問題ない、です…」
「そうか。少し待ってろ」
それだけいうと、今度は給湯室の方へ向かう。
「ちょっ!神田!!!」
まだ、起ききってない身体なのに、立ちあがろうとする神田。
ふらふらしすぎ。
危なっかしくて見てられない。
「もう少し、おとなしくしとけ」
そっとその上半身を壁へ預けさせる。
落ちかけている布団を足の方へかけてやると、
なぜか、きょとんとした目で俺のことを見ていた。
「どうした?まだ具合悪いか?」
うろたえる俺に反して、どこか楽しげに笑う神田。
「なんか、直ちゃんセンセが大人―――…」
神田の一言に噴出した音、2つ。
「ははは!!!!、飛鳥ちゃん、サイコー!!」
「直獅、それいわれたら終わりだぞ」
「なっ!!!琥太郎センセも水嶋もひどいぞー!!」
「「ひどくない、ひどくない」」
「あっ!すごい!郁ちゃんセンセと琥太郎センセがハモってる!!」
「神田。一番の元凶はお前だからな」
「え〜、サボり中の教師には、いわれたくないです〜」
「こら、飛鳥。そこら辺にしておけ」
琥太郎センセがカップを片手にこっちへ来る。
「ほら、飲んどけ」
神田にそのカップを押しつけるとまた事務処理へ戻っていく。
ピンクのマグカップからは甘い香り。
「ありがと、センセ」
ココアの入ったカップを片手にふんわりと神田が笑う。
なんだかんだ言われたが、
この笑顔を見れたことで、チャラにしてしまおうか…
なんて考えてる自分に、気付かないフリ。
05.ちび先生の苦悩。
「そういえば、今何時?」
「そろそろ、放課に入る頃ですよ、陽日センセ」
「えっ!嘘ぉ…。授業受け損ねた…」
「あっ、飛鳥。青空が迎えに来るとか言ってたぞ」
「………怒られたら、助けてくださいね」
「「「無理だ」」」
「そんな、ハモんなくてもいいのに」
チャイムの音と同時に廊下が騒がしくなる。
またひとり、保健室のドアに手をかける。
背中にかかる、2つのバッグは
お迎えのシルシ。
110702
やっと、ヒロイン起きました。
長かったぁ…。
ってか、全然進んでない?
進まないかなぁ…、進んでほしいなぁ…。
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