はろ、はぴ | ナノ



03.安息保健室



窓の外を見ると、もう桜が散り始めていた。


静かで、のどかな保健室に軽いノックの音が響く。



「失礼します…」

礼儀正しく入ってきたその姿に、ため息をひとつ。

「神田か…」
「はい。毎度のことですがすみません…」
「こっちこそ、毎度毎度すまないな」
「いえ。もうこれが僕の仕事のようなものですから」


普段はあまり保健室へ来ることのない青空。
来るとしたら天羽の付添か、神田を届けに来るときくらいだろう。



「どこで拾ったんだ?」
「中庭で。神楽坂くんが教えてくれました」


青空が背負っている神田を、すでに定位置となっているベッドへ寝かす。


「ほぉ。神楽坂が…」
「はい。彼とも随分親しいようですし」
「いい傾向なのかもな」
「そうですね。…あっ、僕はそろそろ授業に戻ります。
 終わり次第、迎えに来ますので」
「あぁ、わかった。 頑張れよ」

一礼して青空が保健室から出ていく。




青空がいなくなった保健室はまた静かな空気で包まれる。

規則正しい呼吸を繰り返す飛鳥。

そっと傍に腰掛け、額にかかる前髪を避けてやる。








「……もう、忘れてもいいんだぞ…?嫌なこと、全部」





ぐっすりと眠る飛鳥に、そんなことを言っても当然返事はなく。


こぼれた言葉は宙を通り抜けていった。








03.安息保健室








遠くの廊下から靴音が聞こえる。

この時間に来るのは、体育でケガをした生徒かサボりの教育実習生しかいない。

靴音は一定で落ち着いている。
まぁ、郁だろう。


さみしそうに空いている飛鳥の腕に、
すでに常備してある彼女専用の抱き枕を入れてやる。

気持ち良さそうに頬を寄せる飛鳥を確認しカーテンを閉める。



保健室のドアが開く音と共に、甘ったれた声が響く。








110603

あれ?なんか当初やりたかったこととズレてる…。
そして、なんで郁さんがいるんだぁ!!!!
今は春だろ!おかしいだろ!!
まぁ、いいや。
郁さんも羊も、年中いるって設定で、進めていきます!

そして、琥太郎先生は基本、名前でも苗字でも呼びます。