▽ちょっとだけえろい




「…………えあ!!?」


ばさばさっ。抱えていた書類(ボスに頼まれた大切っぽいやつ)が派手な音を立てて廊下へ落ちた。
み、みみみみ見て、しまった、!普段は誰も使うことがない小さな会議室で、重なり合っているランスロットと名前も知らない女の子の姿を。しかも、ランスロットの上に女の子が乗っている形ということはこれは俗にいう「騎乗位」ってやつで、ランスロットが下から女の子の体を貫くたびに女の子の胸が揺れて――ああああちょっ、だめだめ私今絶対見ちゃいけないシーンを見てる!というか、あのふたりがイケナイことをしてる!
どど、どうしよう今ここでランスロットを捜しているらしいボスが来たらなんて言、


「名無し?どうかしたか、こんなところで」

「△◎■$@*〜っ!?」

「な、どうした!?」

「なっ、な、なな……何でもないですよ……!?」

「…そ、そうか…?」


小首を傾げたボスが、廊下にしゃがみこんで私が落とした書類を拾い集めてくれた。しゃがみこんだせいでひらりと開いたシャツの奥、鎖骨の下辺りに(あまり覚えはないのだが私が残してしまったらしい)真新しい噛み痕が見えて、ダブルで恥ずかしい。


「ほら。……名無し、さっきよりも顔赤くないか?」

「いやっ、そっ、あ、き、気のせいじゃないですか!?」

「そうか。あまり無理はせずに休めるときに休めよ。……ああ、ところで名無し、どこかでランスロットを見、」

「てないですボス!」

「…えらく食い気味だな。それじゃあっちのほうに、」

「待っ、だめだめだめです今あっちに行くのはボスに悪影響を与えかねません」

「?……やっぱり、なにかあるんだろう」

「なんでもないです!もう本当に!ね!?可愛い可愛い私に免じてここは見逃してください後生だから!」




だから絶対しばらくあっちには行っちゃだめ!
(しばらくって?)(……あと2時間ぐらい)(やけに具体的だな…)





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