もしも青学テニス部員たちが将来こんな職業についてしまったら。

〇もしも不二がパン屋になったら

旅行先で出会ったとある有名パン屋で食べたカレーパンに心を奪われ、地元に帰ってからもちょくちょく取り寄せて食べていたがそのうちに「わざわざ取り寄せなくても自分で作ればいいんじゃないか」と思い立つ。手作りパンキットを購入し、ほぼ独学で修行を始めるとみるみるうちにおいしいパンが焼けるように。姉がちょっとした気まぐれで占いに訪れる客にそのパンを売ってみると人気が爆発し、まもなく店舗を構えた。最近は人気パン屋のイケメン店長としてパン屋界で注目されつつある。最新作激辛カレーパンの売れ行きも一部の辛党には好評。


〇もしも菊丸が工場長になったら

ある工場の生産ラインに入ってみた菊丸は意外に大活躍。どの友達からも「人前に出る仕事の方が絶対向いてる」と言われながらもその工場で働きまくった。「だってなんかこのちっちゃい穴に部品入れて繋げるのがすっごく楽しいんだもん」と言って通常の二倍の作業をこなす(分身しているため)。普段会話の少ない工場でムードメーカーとしても活躍し、前工場長が定年を迎えると後任に抜擢された。ちなみに神尾が最近入社してきたので、リズムに乗り始めれば自分を抜く勢いになるんじゃないかと思い気合を入れ直している。


〇もしも大石と河村が正義の味方になったら

一見平凡な毎日を過ごしているかのように見える大石秀一郎は、困っている人を見つけると近くのコンビニに走って手頃なカップ麺を購入し、お湯を注ぐ。そしてコンビニのトイレを借り、ミラクルヌードルパワーによって愛と小麦粉のカップ麺仮面に変身するのだ。カップ麺仮面は、市販のカップ麺にお湯を注いでから出来上がるまでの三分間だけ超人的な力を手に入れることができるスーパーヒーローである。ちなみに湯切りが必要な麺では変身できない。弱きを助け強きを挫き、使命を果たした後はカップ麺を完食して普通の大石秀一郎に戻る。
また、焼肉屋では奉行モードが解放されほぼ無敵となるが本人は焼肉に夢中であるためそれに気づいていない。

河村もまた、普段は何の変哲もない寿司屋だがいざというときにはカップ麺仮面と化す正義の味方である。だが最近は本業の寿司屋の仕事が忙しいためなかなか変身できない。カップ麺仮面に変身するより先に寿司屋の大将として人助けをした方が効率がいいのではないかと密かに悩み、それでも誰か困っている人を見つけると自然とカップ麺に手が伸びてしまう自分との葛藤が続いた。しかしカップ麺仮面と寿司屋の間で揺れる生き方に疑問を感じ、いよいよ寿司一筋で生きていくことを決心した河村はこう語る。「曖昧な気持ちで握った寿司をお客さんに出すのは失礼だからね」そんな河村のこれからの寿司人生に期待したい。


〇もしも桃城と海堂が俳優になったら

一浪して大学に入った桃城がなんとなく演劇サークルの見学に行くとそこには一年先輩になった海堂が。「なんでお前がいんだよ!」「こっちの台詞だ!帰れ!」「帰らねぇ!決めた!ここに決めた!ここでお前の邪魔ばっかしてやるよバーカ!」と、勢いに任せて海堂の後輩に。ところが演技にのめり込んでいく桃城と、それを見た海堂は互いに影響しあってスキルをどんどん上げていった。その甲斐あって公演は大成功、ようやくお互いのことを素直に認められるようになってきた二人はたまにテニスをしに行ったり「演劇とは」という議題で一晩語り明かしたりするようになる。
卒業した海堂が劇団のオーディションに受かったと聞いた桃城はいてもたってもいられず別のオーディションへ向かい、執念で合格すると大学を辞めた。それを聞いた海堂は今までの中で一番怒り、桃城もむきになって反抗したためついに関係修復は不可能かと思われたが、数年の間お互いのいない環境で様々な経験を積み、再会を果たすと周囲の支えもあってなんとか仲直りに成功。いずれ二人芝居をやりたいと互いに思っているが、照れくさくて言いだせないまま。


〇もしもリョーマが住職になったら

テニスで世界を制した後、バックパッカーとなって世界中を旅すると人生観が変わって哲学的なことを人知れず考えるようになる。久しぶりに帰った実家では相変わらず南次郎がエロ本を読みながら寺の鐘をついていて、こんな父親に任せておいていいのだろうかという気持ちと昔の懐かしさも相まって、自分もやってみようかなという気に。南アフリカまで追いかけてきたこともあるリョーマ様ファンクラブは密かに帰国していたリョーマの消息をあっという間に嗅ぎつけ、翌日からすごい勢いで寺に押し寄せた。南次郎はこれを期にカルピン饅頭なるものを作って販売しようと目論んでいる。


〇もしも乾が漫画家になったら

家にある昆虫図鑑を何度も繰り返し読んでいた乾少年がある日思い立ってノートの隅にカブトムシを描いてみたところから、彼の漫画家人生は始まる。はじめは単なる落書きだったものでも徐々にリアルを追求していくと図鑑だけでは物足りなくなり、毎日のように山に出かけては昆虫採集とスケッチに明け暮れた。その後少年漫画にどっぷりとはまり、中二病を極めた絶頂期の夏に「そうだ、俺は虫で漫画を描こう」と思い立ってからは得意のデータ収集能力を存分に発揮して、まんまと小学生向けの雑誌に連載をはじめることに成功した。人気は微妙だが、全くないわけでもないので打ち切りの予定もない。


〇もしも手塚が侍になったら

自分を殺そうとした主を逆に殺してしまった侍、手塚国光は真の武士道を求めて旅を始めた。彼は寡黙であるがゆえに誤解されやすいが人一倍正義感が強く、旅先で出会う様々な悪事をその研ぎ澄まされた剣技で一刀両断、例え自分の身を危険に晒すことがあっても守るべきものを守り抜く孤高の剣士である。大阪で出会ったエクスタシー侍とは二度切り結んだが、思わぬ邪魔が入って共に引き分けに。世の無駄を一掃すべく旅をするエクスタシー侍と、今まで誰にも頼ったことのない一匹狼が出会った記念すべきこの日は後に「四天宝寺の邂逅」と呼ばれるようになった。


















書ききれなかったこと
@カップ麺仮面は出来上がりに4〜5分以上かかる麺類でも変身できます。しかしそのパワーは時間に反比例して減少します。
A「Super麺」とネイティブっぽく発音していただけると嬉しいです。
B変身の際コンビニのトイレを借りるのは周りの人がびっくりしないようにです。決して着替えてるからではありません。その証拠に、湯を注いでから大石が駆け込んだトイレのドアの隙間からちょっと光がもれます。変身中の光です。
C不二くんのパン屋はもちろん不〇屋。これが言いたかっただけです。



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