※一応1224・1225の続きですがたいして関連性がないので気にしないでください












「大晦日は皆、俺の家で過ごす予定だ」
「楽しそうだね」
「すまない、…その、さすがに病院側に迷惑がかかると思ったのでな」
「え?大晦日まで病院来ようとか思ってたの」
「…」
「お前らしくないよなあ、蓮二」

年が明けたらすぐに会いに来る、そう言って蓮二は申し訳なさそうに笑った。俺は十分すぎるくらい嬉しいんだから、そんな顔しなくてもいいのにと言っても黙って首を振った。

さて、今夜は大晦日、俺は寂しい病室でぼっちの年越しだ。家族も帰ったし、看護師さんも気を遣っているみたいで態度がよそよそしい。俺なんかのためにここで年越させちゃってすみません、と言うとやっと表情が明るくなって、私のことは気にしないでいいよなんて言いながら着替えを手伝ってくれた。

「あの、ちょっと部屋の外に出たいんですけど」
「…大丈夫なの?」
「はい、今日は調子いいんです」
「先生には内緒よ」

暖かくして、すぐ帰ってきてね、と念を押す看護師さんにぎこちなく手を振って俺は待合室の奥にある公衆電話に向かった。





「もしもし、柳さんのお宅ですか」

電話から聞こえる礼儀正しい受け答えに少し緊張した。蓮二の名前を呼ぶこの声はきっとお姉さんのものだろう。少しの間聞こえた保留のメロディはエーデルワイスだった。

「…精市?」
「あ、蓮二、今のお姉さん?」
「体は大丈夫なのか」
「うん、みんなそこにいるんだろ」
「ああ、隣の部屋でガキの使いを…」

あー俺も今見てたよ、と俺が話を展開させようとしても蓮二はしきりに体のことを心配していた。まあそれは嬉しいんだけど話したいこっちとしてはつまらない。

「そろそろみんなにかわってくれ…あ、保留ボタンは押さないで」




「もしもし」
「真田か、えーと、楽しんでる?」
「ああ、たまにはこうして夜に集まるのもな」

みんなから繰り返し体の心配をされてそろそろうんざりしていたころに回ってきたのが真田だった。開口一番にもう寝ろとかなんで電話してくるんだとか言われると思ったら、わりに静かに話をするからこっちが驚いた。

「今日はうるさくないね。もう眠いの」
「…いや、蓮二も丸井も、柳生も、お前を心配してばかりいたからな」
「え、」
「同じことを何度も言われるのは気が滅入るだろう」
「…真田、年末は調子いいね」

言っている意味が分からないのだが、と戸惑う真田の声が耳に心地よかった。いつもは何時くらいに寝てるの、今日は何時まで起きるつもりなの、と次々に飛びだす俺の質問にゆっくり答える真田の話し方が、好きだなあと思った。

ふと電気の消えている待合室の時計に目をやると、年が明けてからもう5分経っていた。

「あ、あけましておめでとう」
「ああ、もう明けていたのか、おめでとう」
「真田、ありがとう」
「…幸村?」
「うん、そろそろ次にかわって」

また気づかないうちに年越しちまったぜい、と丸井の声が聞こえた。















おまけ

柳「幸村から電話だ」
皆「えー!」
柳「丸井、出るか」
丸井「え!…もしもし幸村くん?こんな時間に大丈夫なのかよい」
〜〜〜
丸井「ん、じゃ次ヒロシな」
柳生「はい、…もしもし、幸村君、今は暖かくされていますか、大丈夫ですか」
〜〜〜
真田「ではな幸村、…赤也、話してこい」
赤也「え、あ、はい!…も、もしもし、あの、あけましておめでとうございます!」


こうやって一人ずつ幸村さんと話してる間、他全員まわりで静かに耳を澄ませてたりしたらかわいい
幸村さんが保留押すなっていうのはみんながテレビの前でざわざわしてるのを聞きたかったからです







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