仁王は部活開始時間から36分ほどで到着した。弦一郎がずかずかと歩み寄り「遅い」と一言怒鳴ったが、仁王がぼそりぼそりと何事か弁解すると驚くほど静かになりその後のお咎めは皆無に等しかった。柳生が何か聞きたそうにしていたが、何も話す気はないらしい。顔が赤いから調子でも悪いのかと聞いたが「違う」とだけ返された。

丸井は無断遅刻。欠席かどうか、この時点ではまだ分からない。

部活開始から1時間20分ほどすると明日か明後日に切れる予定だった俺のガットが切れた。赤也の成長は目覚ましい。データの修正が必要だ。その後止める間もなく赤也が俺のラケットを取りに出ていってしまったので、仕方なく赤也のラケットで練習を続けた。

赤也が出ていってから1時間42分、欠席かと思われていた丸井と、戻っているはずの時間をとうに過ぎた赤也が連れ立って到着した。二人はどうやら口裏を合わせており非常に挙動不審な態度で弦一郎に頭を下げていたが、弦一郎は早く練習に戻るよう言っただけだった。



俺が話し終えると、精市は「少しは真田も分かってるみたいだ」とだけ呟いた。

「明日は全員で来る予定だ」
「早とちり三人がどの面下げて来るのか楽しみだね」







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