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「ねー俊平ー?」
「ん、なんだ、ちび。」

これは私の日常。
最初は普通だったものの付き合って半年が過ぎた今、
ちびと呼ばれ、おこちゃま馬鹿にされ…
確かに私は150センチしかないし、童顔だ。
それになにより、

ー自分からちゅーもできないなんておこちゃまだね

これが私の最大の弱点。
半年経っても未だに自分からはキスが出来ません。
だから次のデートこそはって思ってます。
俊平を見返してやろうと。


ー約束のデートの日
水族館のチケットをもらったということで今日は水族館に来ました。
「やっば、めっちゃきれい…」
久しぶりにきた水族館に感動。
そんな私を見て、
「名前なに見る?どこ行きたい?」
そこまで興味のなさそうな俊平は私の行きたいところを聞く。
「イルカのショーははずせないよね!」
「んじゃ、この時間まで適当に周るか。」
そういって歩き出すとさり気なく繋がれた手。
俊平のそういうところ、ほんとにかっこいいと思う。
子供っぽいとバカにするくせに然るべき時には紳士なところ。

大きな水槽から小さな水槽、
ヒトデなんかを触ったり出来るところでもはしゃぎ
そしてイルカのショーも見て
最後には俊平がお揃いで貝殻のブレスレットを買ってくれた。
2人でたくさん笑い合って大満足。

「あー!楽しかった!」
「俺もっと暇すんのかと思ってたけど楽しかったわー」

2人で笑い合い、階段を下る。
今がチャンス、今しかない。
「俊平ー?」
「ん?」

先に行く俊平が振り返り、それでも高さの足りない私は精一杯の背伸びをして俊平にキスをする。

「やべ、油断してた…」

少し照れた様子の俊平。
それより照れてるのは正直私。

「また来ようね!」
そういって再び歩き出すと
後ろからきた俊平に抱きしめられる。
「きゃっ」
頭を撫でながら
「よく出来ました」
って言って今度は俊平からのキスのご褒美。
「…ねぇ、おこちゃまは卒業できた?」
「まだ卒業ははえーよ!今だって階段の高さ利用してたじゃねーか。まだまだおこちゃまだね」
ばれてた…
「でも、そんなところもかわいいし、俺は好きだよ。」

まだまだおこちゃまだけど、
これからもっと俊平に好きって言ってもらえるようにがんばります。