「履歴書を作れ?」
「よろしくお願いします」

降谷さんから電話で探偵業の為に喫茶店で働く事にしたと。忙しいから履歴書を作れと。しかも明日まで。今、もう夕方。

「何でもっと早く言わないんですか!」
「怒るとこそこなんだ。作ってはくれるんだね」
「……。証明写真どうするんですか?」
「PCに入ってると思うからよろしく。喫茶店のホームページ送っとく」

無情にも電話が切れる音が耳元で鳴り響く。切られた……。呆然としている場合じゃない。私は作りかけの書類を保存して降谷さんの写真を漁るが、出てこない。いや、正確には出てきたが警察学校時代と公安に入るときの写真しかない。こんな数年前の写真使えるか! 今度降谷さんのPCにエロ画像仕込んでおいてやろう。思いっきりマニアックなやつ。私は携帯を取り着信履歴の頭をタップし降谷さんに電話をかけた。お願いだから出てください。

「出た!」
「何ですか?」
「何ですか? じゃないですよ! 写真数年前のしか無くて使えませんよ!」
「そんなに見た目変わってないでしょう?」
「変わってなくてもただでさえ偽造の履歴書作るのに、何で写真も詐欺しなきゃいけないんですか! さすがにお店側に失礼です。撮って持ってきてください」
「じゃあ、そこにちょうど写真館があるから撮って来る。で、取りに来て。住所は……」
「ちょっと待ってください! 写真館なんて高すぎます! その経費落とすの大変なんですよ! そこらにある自動証明写真でいいですから!」
「住所は……」

住所だけ言って電話が切れた。写真館っていくらくらいするんだろ。この領収書の説明をして提出しなきゃいけないことを考えるだけで胃が痛い。 近くのデスクの人にちょっと出てきますと声をかけ車に乗り込む。走り書きした住所に向かうと、結構立派な写真館の前に着いた。中に入り安室徹のツレなんですがと受付に声をかけるともう終わるのでお待ちくださいと言われ近場のソファに腰をかける。すぐに降谷さんが出てきて、8枚入りでお願いしますとか言ってる。壁にかけられてる料金表を見ると8枚入りは3000円もする。1番安い6枚入りで2000円なのに。

「バカですか! あなたは! 6枚入りでお願いします」
「上司に向かってバカはないだろ。大は小を兼ねるだろ。多い方がいいって。そのまま8枚でお願いします」

困ってしまった受付の人は降谷さんを優先したらしく8枚入りを用意してくれた。3000円って。そこらの機械なら800円で撮れるんだぞ。用意してもらった以上断りきれなくて、領収書をもらい写真も預かる。

「では、ちゃんと撮ったのでよろしくお願いします」
「わかりましたよ。今日はまた向こうですか?」

向こうとは潜入捜査のこと。因みにあっちは探偵業の事をさす。

「ええ、そうです」
「わかりました。ところでこれ作ったら明日取りに来るんですか?」
「夜には家に戻ってるので、今日中に家のポストに入れてください。インターホン押さないでくれよ」
「どんだけ私と彼女を会わせたくないんですか! あなたのこの性格を暴露してやりたい」
「そういうのいいんで、履歴書お願いしますよ」

そう言って、降谷さんは潜入捜査に戻った行った。車で職場に戻った私は履歴書と格闘するのである。



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