降谷さんが保護していた女の子。組織に見つかりそうなかなり危険な状態で公安も匿っている場所を勘ぐられないようにと、彼女と会わないように言われていたらしい。私が部下になった頃には、もう保護もなくなり降谷さんの家を出て一人暮らしの準備をし始めなくては行けない段階だった。その手続きの判子は私が押すことになっていたので彼女の顔は写真だけだが知っていた。かなり可愛い子。この子降谷さんの変な毒牙にかかっていないといいけど。

しかし待てど暮らせどその一人暮らしのための新居の書類申請が来ない。もう彼女は学校を卒業したはず。この件は私だけで、済ませられる事なので降谷さんに相談すればいいか。周りの人達はこの件に関して、あまり聞かないことが暗黙の了解となっている。それは今回個人の家で保護を行っていて、降谷さんと彼女のプライベート的なところにもかかってきてしまうからだ。普通なら家を借りて交代で様子を見るくらいだからね。まだいい所が見つかっていないなら生活費の相談とか細かいところにかかってくるから、一緒に部屋探しをしないといけないかな。というか一応引越しの手伝いまでしてちゃんと引越ししたか確認しないといけないのもあるし。一緒に部屋探しが出来たらスムーズにその作業も済みそうだ。私は珍しくデスクにいる降谷さんのところに行き、なるべく周りに聞こえないくらいの小さい声で話しかけた。

「降谷さん。あの彼女の部屋探しの件なんですけどまだ部屋見つからないんですか?」
「見つかったよ」
「なら、書類を」

私の言葉を遮りいきなり立ち上がった降谷さんは、私の腕を掴み人のいない会議室へと入り鍵をしめた。なんかこれくらいのことで動揺しない自分はどうなんだろう。

「どうしたんですか? また人に言えない様なことしたんですか?」
「またって。俺はそこまで問題児ではないよ」
「わかってますから。で、何ですか?」
「彼女とは付き合う事になったから俺の家にそのまま住んでもらうことになった」

一体この人は何を言い出すのだろう。付き合うことになったって、

「えっ?」
「でも彼女は未成年だし、好き同士とはいえさすがに俺も職業が職業だから公には出来ないだろ? だから新しい部屋は俺がバーボンとして住む家を探すから、そこに判を押して欲しい。引越しも適当に見たと言ってもらえばそれでいいから」
「それはわかりましたけど……」
「何か言いたそうですね」
「いやーそうなっちゃうとガンガンにプライベートなので聞けないですよー。わかりました。口止め料としてパフェ奢ってください」
「わかった。じゃあ、また後日持ってくるからよろしく」

そう言いながら片手を上げて事務所に帰っていってしまった。やっぱり問題児じゃないか。何だか頭痛がしてきた。……今度彼女に会ったときどこがいいのか聞いてみよう。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -