何だがとっても気味が悪い。帰って来た時はただいまと言ったし、私の分のお酒を用意したとか言ってくるし。

「ジン……。何か嬉しいことでもあったの?」
「まぁな」

鼻歌でも歌いだしそうな機嫌の良さ。仕事がうまくいったのかな。あまり深入りはしないけど。

「うい。どこか行きたいとこでもあるか?」
「特にないよ」
「そうか」

不思議に思いながらも、その日はいつもより口数の多いジンとたくさん会話をした気がする。ジンがご機嫌で饒舌だった数日後。久しぶりに、バーボンが家に来た。少し険しい表情の彼は私に、赤井秀一について何か知っているかと問われた。

「赤井……さん。何かあったんですか?」
「いや、知らないならそれでいいんだ」
「組織に関することなんですね」
「……。そんなところかな」

私は本当に蚊帳の外で、大切な事は何一つとして知らない。知らないから守られている訳で。でも、知ってしまったら全てが終わる訳で。何が起きているかわからないけど、赤井さんに何かあったのは確かなようで、何かが大きく動き始めているのだろうかと思った。きっと私がジンにしてあげられる事は、ただ普段通りに振る舞うことなのだ。



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