ライがいなくなって数ヶ月。相も変わらず変わらない毎日だけど、前より私とジンの会話は、少し増えた様にも思う。静かな夜。いつもと変わらずにお酒を飲んでいるジン。毎日いつこの光景が見れなくなってしまうのだろうと思う事もあるけど、そんな心配をよそにジンは当たり前のようにそこにいた。

「ジン。私も少し組織の手伝いがしたいな」
「ダメだ」
「だよね。ごめん」

組織に関わった時点で、私は降谷さんに捕まってしまう。結局私がジンにできる事は、黙って側にいる事しか出来ないのだ。

「俺が言えた義理はないがういには生きていて欲しい」
「え?」

唐突に何を言い出しかと思えば。そんな事を言われたのは初めてで、拍子抜けしてしまった。驚いてジンを見ると小さく笑っている。

「だから、こっちには来るな」
「わかった。って言ってもジンは力づくで止めると思ってるから、私はこれから先も普通に生きていくよ」

だから、心配しないでと言うとそうかと短く返された。ジンが心配していてくれる。その事実だけで、もう充分なのだ。

「私も今日は飲もうかな」

私は立ち上がり酎ハイを取りに行きジンの横に座り缶を開けた。

「私もジンには生きていて欲しいよ」

嘘でも肯定して欲しかった。けれど、ジンは肯定も否定もせず無言。

「ごめん。今の忘れて。ってジンがそう簡単に死ぬわけないよね」
「……当たり前だろ」

きっとジンの精一杯の優しさ。ますます一緒にいたいと願ってしまって、言わなければよかったという後悔と共に苦いアルコールを流し込んだ。



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