「どうした?」
「何も……」

ライの事で気になる事があったけど、組織の話をジンに聞くのはどうかと思うも、聞けるタイミングはないかチラチラとジンを見ていたら、ジンも私の視線が気になるのか話しかけてきた。相変わらず黙々とお酒を飲んでいる。変わらない毎日。そう変わらない毎日なはずなのだ。けれど、ライを見る事が少なくなったなと思っていた。……バレたのかな。……単純に仕事が忙しくなっただけなのか。私が考えてもわからない事だと諦めていたけど、ジンなら何か知っているはずだと。組織と関与のない私は組織の人間であるジンにはやはり聞けないでいた。

「うい」
「何?」

何だか今日はよく話しかけられるなぁ。機嫌がいいのかそれとも逆に、虫の居所が悪いのか。結構な時間一緒にいるけど、ジンの思考はよくわからない。深入りはしない方がいいと思ってるから、干渉はしないようにしているのもあるけど。返事はしたものの、ジンは黙ったままお酒を飲み続けている。私は座っていたソファーから下りて、ジンの隣に座り、頭を肩に凭れさせてみる。するとジンはグラスを置いて、私の頭を撫でた。

「何でもねぇ」
「……そっか」

どこかジンは寂しそうにも見える。理由は知りたいけど、やっぱり私の中の本能が深入りは禁止だと言うのだ。

「ねぇ、ジン」
「何だ?」
「何でもないよ」

別に甘い雰囲気を求めている訳でもないけど、恋人っぽいことしてみたいな、なんて。頭を撫でていた手が止まって、腰に手が回ってきたと思ったら唇を塞がれた。お酒の味が口内いっぱいに広がり、少しクラクラした。



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