バーボンが持ってきたグルメ雑誌。大きな記事になっているポアロでバイトを始めたから、良かったら遊びにおいでとのこと。美人店員とその店員に抱えられた猫の写真が一緒に乗っている。

「遊びに行くのはいいんですけど、なんて言う名前でバイトしてるんですか?」

私はこの男の人の呼び名は、バーボンしか知らない事に気づいた。別に名前を知らなくても生活出来るけど、遊びに行く場合バーボンなんて呼び方はおかしいからね。

「安室徹という名前でしてるよ。その名前の時は探偵として使ってる」

探偵。探偵といえば、シャーロックホームズとか本の中の人物くらいしか思いつかない。あまり身近な職業じゃないなぁ。たまに眠りの小五郎っていうのは聞くな。それより"という名前"って。まぁ、本名は軽く教えないよねと、考えていたら安室さんがあっさり本名は降谷零ですと言った。赤井さんといい降谷さんといい、もう少し私を警戒した方がいいのでは。仮にもジンの彼女なんだけど。

「暇があったら遊びに行きますね」

私はポアロの記事を読みながら答えた。はい、待ってますと少し楽しげにいう声が聞こえた。

学校が終わる帰り道。数日前降谷さんから教えてもらったポアロの事を思い出す。どうせ帰っても暇だし寄ってみよう。角を曲がったらそこはポアロというとこまで来て重要なことを思い出す。降谷さんのシフトを知らない。しかしもうお店は近いので、あの美人店員さんに会ってお話しをするのもいいかもしれない。猫にも触れるかもしれないと考え直し角を曲がるとその心配はいらなかったようで、店先に降谷さんがいるじゃないか。小太りなおじさんが猫を抱えている。あの人が飼い主なのかな? それに眠りの小五郎さんに高校生くらいの女の人、美人店員さんに子供4人が一緒にいる。お店に近づいて、降谷さんに声をかけた。

「安室さん。遊びに来ましたよ」
「ああ、うい。いらっしゃいませ」

ニコニコ笑顔の安室さん。キャラ変えてるんだ。なんだかんだ大変なんだな、この人も。

「この方は猫の飼い主さん?」
「そうたった今見つかったんだけどね」
「あの、安室さんの彼女さん……ですか?」

そう美人店員の梓さんが声をかけてくる。どっちかっていうと美人っていうより可愛い人だな。安室さんが梓さんの問いかけに違いますよと答える。

「ただの友達です」
「そうなんですね」

そんなやり取りを梓さんとしていると猫を抱えたおじさんはでは、私はこれで失礼しますと言って、子供たちにいつでも遊びにおいでと連絡先を渡していた。それから順に毛利さん親子と子供たちに自己紹介をされた。降谷さんもとい安室さんは、毛利さんの弟子入りしてるんだ。

「上杉ういです」

私も自己紹介をする。すると子供たちが本当に彼女さんじゃないの? と騒ぎ出す。小さいのにませてるなぁ。降谷さんが残念ながら……と落胆している。

「お似合いだと思いますけど」
「もう彼氏いるからね。安室さんと付き合ったら浮気になっちゃうし」

光彦くんに言葉を返すと彼氏いるんですねと驚かれた。驚くことか? 浮気というか迫られてしまってはいるけど。元太くんが安室の兄ちゃん奪っちゃえよとか言ってる。現に失敗しまくっている降谷さんは苦笑いで返す。それよりさっきから、コナン君がやたら私を見てくるのが気になる。

「コナン君、私の顔に何かついてる?」
「えっ、あっ、ついてないよ。何か普通の友達にしては随分仲がいいんだなーって」
「付き合いは長いからね。僕達。だからそう見えるんじゃないかな? それよりうい。そろそろ立ち話もなんだから中に入りなよ」
「そうですね」

言われるまま喫茶店に入る。店の中はとてもいい雰囲気で、梓さんに空いている席に通されコーヒーを注文する。少しすると降谷さんがコーヒーを持ってきてくれた。

「こちらホットコーヒーになります」
「ありがとうございます。あのさっきのコナン君って何かあるんですか?」
「別に君が気にすることじゃないさ」

一瞬バーボンに戻った降谷さんだがすぐ笑顔になり、ごゆっくりどうぞと言って厨房に戻って行った。



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