……何だ。この空間。俺を含め3人、ういの帰りを待ってるのは確かだが、何が悲しくてこの3人で飲んでいなくてはいけないのか。

ういがリビング以外に、共有のものは持ち込み禁止だと言ったからしょうがないのだが。理由はちょっと前にいた、監視員が自分の部屋で共有物を独り占めしたことがあるからだそうだ。それぞれの部屋は使用者以外立ち入り禁止だし、いろいろめんどくさいことになったから共有物はリビングのみと決めて何となくその習慣を残されているから困りものだ。素直に従う俺達も俺達だが。それにういが俺達が好きそうな酒を買っておいてくれて、それがいつもハマるものだから。それはいいが3人とも共有物を飲んでいると、今みたいな光景が出来上がる。

いつもはここにういもいるから少し場が和らぐが今は果てしなく苦痛だ。それに俺が誰もいない時に、つけてしまったテレビがかなり場を盛り下げる。完全に消すタイミングを逃してしまい、くだらないバラエティー番組が始まってしまった。顔も知らない若手俳優とそこそこ有名な芸人が女性についてのテーマでトークをしている。バラエティー番組なのに、この場にいる奴らは誰も笑わないしただ黙ってテレビを見ているだけ。何ですか。笑ったらケツバット何ですかね。

《では次のテーマです! 女性の下着の好みは?》

若手俳優がちょっとためらないながらも好みを明かしていく。この俳優達のファンは、明日から好きな俳優の好みの下着をこぞって買いに行くのかなどどうでもいい事を考える。そして俺はよせばいいのに、こんな事を口にしてしまった。

「ういは白が多いですよね」

まぁ、反応はないか。とテレビに視線を戻そうとしたら、何で知ってんだとジンが反応を返した。これはまた意外な人物が反応する。でも自分の彼女の下着の色を知っている男なんて放っておけないよな。その割に俺がういのことを、抱いたなんて知る由もないだろうけど。

「それは一緒に生活をしていれば見えてしまう時だってありますよ。ですよね、ライ」
「ああ。そうだな」

素知らぬ顔して酒を飲むライだけど、絶対お前も手を出しているだろ。ういも大の男3人も相手にして、若いのに罪だな。それでもしっかりジンの事が好きだ、というから本当に好きなんだろう。上手く言いくるめて、シてるけど一応合意の上だ。無理矢理なんてしたらさすがに、罪の意識がある。そんな事、今はどうでもいい。早くうい帰ってこい。すると俺の言葉が届いたのか、玄関から音がした。帰ってきた。リビングの扉が開く。一瞬その光景にびっくりしたのか声がどもるうい。

「た、だいま。3人で飲んでテレビ見てるなんて、仲は良くないのにどうしたんですか?」

ジンはもう限界だったのだろう。すぐに立ち上がりういの腕を捕まえ自分の部屋へと入っていった。その様子を見てライが口を開く。

「まぁ、ういをジンに取られるのは仕方ない」

今日はこれが飲みたかっただけとでも言うように、ビンを空にして、ゴミ箱に捨てたライはそのまま部屋に入っていった。俺もコップに入っている酒を飲み干しテレビを切る。テーブルの上を片付けないとういに怒られるので、適当に片付けを済ませ自分の部屋へと戻った。



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