「お邪魔します」
「別に家に帰ってきたと思って構いませんよ」

時計が指す針は0時。今日はバーボンと2人きりか。バーボンの手にはコンビニの袋。夕飯食べてないのかな。キッチンの方では、電子レンジの開ける音が聞こえて続く軽い電子音。

「ういってお酒飲めるのかい?」
「甘いのだったら飲めますよ」

また軽い電子音が聞こえて、温めていたものと缶ビールとチュウハイの缶を持って、バーボンが隣に座った。温めていたものは、唐揚げ弁当で香ばしい匂いが漂ってくる。どうぞと私の前に缶チュウハイを置かれた。いきなり渡されて、私は缶をぼんやりと見つめる。隣では行儀よくいただきますと夕飯をマイペースに食べ始めている。体育座りで、ボーッとしている私に、箸を止め飲まないのかい? と聞いてきた。

「よかったら付き合ってよ。それとも弱い?」
「そんなに飲んだことないので、弱いのかわからないんですけど。とりあえずいただきます」

缶を空けて一口。ほんのりお酒の味と炭酸が口に広がる。特にすることもなく、携帯をいじりながらお酒を飲む。これは一応お酒に付き合っているということになるのか? 別になんでもいいか。隣ではすでに、2本目の缶を開けているバーボン。

「お酒強いですよね」
「まぁ、弱くはないかな」

そうなんですかと適当に返し、私も半分ほど缶を開ける。久しぶりにアルコールが入った体は、いつもより少しだけ怠くなる。ソファを背もたれにすると、ソファの柔らかさで眠気が襲う。ここで寝るのはまずい。せめてベッドで寝なくてはと少し体を起こそうとしたらバーボンが、私の顔の横に片手をついた。これはどういうシチュエーションだ。

「あれ? あんまり動揺してないみたいだけど」
「驚いて胸キュンとかどっかにいっちゃいました」

私、ベッド行くんでと再度体を起こそうとしたらもう片方の手も顔の横につかれてしまい、バーボンの腕に挟まれ身動きが取れなくなってしまった。

「あの......バーボン?」
「ういが勘違いしてそうなので、言っておこう。僕達が君のことを取り合っていることを」

誰が保護をするかって話しかな? けどFBIは私を保護する気は無いし、争うなら組織とだろう。私はいつの間にか顔も近くなっているバーボンに公安に保護される覚悟は一応ありますよと答えるとわかっていないなとどこか呆れ顔で笑われた。

「この取り合いにはライも混ざってることを忘れないように」
「何の話ですか?」

どこか諦めたように、3人の話だよと私の横にあった手は退いた。バーボンの行動もよく分からない上に、話の内容もよくわからない。なんとなくここにいると危険だと本能が告げてくる。私、もう寝ますねと逃げるようにリビングを出た。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -