あれから数ヶ月、毎日帰る帰ると言っているが次第に周りの隊士とも仲良くなり、上杉は事務長として上手く立ち回っていた。

23時。今日の仕事がやっと終わりあとは上杉の机に書類を提出して終了だ。上杉の仕事場に向かうと、部屋の電気がついていた。一応事務関係は19時が定時なのだが。襖の前で入るぞと断って、襖を開けた。

「まだ仕事してんのか?」
「うん。終わんなくて。書類出来た?」
「ああ。……まだ終わらなさそうなのか?」
「うん」
「茶でもいれようか?」
「副長さん。優しいー。私は明日お休みなので大丈夫です。副長さんはもう休んでくださいな。明日も仕事でしょ?」

上杉は最近外の見回り班の表も作っているからなのか、全員分の非番を覚えているらしい。仕事のし過ぎた。優しい笑顔を向けてくる上杉に茶いれてくると一声かけ部屋を出る。台所でお茶を淹れ戻ると、腕を思いっきり伸ばし背伸びをしてる上杉にお茶を出す。

「終わったのか?」
「ありがとうございます。あともうちょっとで終わるかな」

そう言うと俺がさっき持ってきた書類に、手を伸ばし取りかかり始める。

「それ上には3日後提出だろ? 俺の提出期限は今日だが」
「今、処理しちゃえば早いでしょ?」
「いや、上杉が休む方が先……」

まさか……

「それ提出早まったこと、黙ってるなんてことはないよな?」
「ないない」

嘘だ。一瞬ペンが止まったのを俺は見逃さなかった。自然とため息をついてしまった。本当はいつ提出だ? と聞くと明後日の朝一そのまま本庁に出向き提出だと言う。明日上杉は休みだから今日やらないといけないということだ。休みの日は、必ず見廻組に遊びに行くらしいから、休日出勤なんかはもっての外なのだろう。

「そういうのは、ちゃんと俺に伝えてくれ。それにみんな結構ギリギリに提出してくるだろ? ホントは今までにもこういうことあったんじゃねぇのか?」
「私は副長さんの仕事を減らしに来たのに急かしてどうするの」
「そんな事気にしねぇでいいのに」

私が気になるのと判を押し、終わったーとまた伸びをしてお茶を啜り、日付けが変わってないだけ上出来と笑う。

「今から帰るんだろ? 危ねぇし送る」
「副長さんと2人でいると、副長さんのファンに勘違いされるので遠慮します」
「ウチの大事な事務長様を夜道1人で歩かせるわけにはいかねぇよ」

持ってきた湯のみをお盆にのせ行くぞと立ち上がる。上杉も周りの物をまとめて立ち上がり素直に送られますかと仕方がないように笑った。



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