*土方が病んでる

閉ざされた扉。殺風景な部屋の中に敷かれている布団は、存在感を増している。横になりたいけど、あの布団に近づきたくなくて自然と距離を取ってしまう。足を動かすと足枷が掠れる音。そして、遠くから聞こえてくる足音。足音が近づく度に、身がすくむ。鍵が開く音が聞こえると、体が部屋の隅に隅にと動き体の震えが止まらない。重たそうな扉が軋みながら開く。

「うい」

隊服の胸元のスカーフは取られていて、今日の仕事は終わりな様だ。ここは窓もないから時間がわからないけど。私の名前を呼びながら近づいてきて、目線を合わせる様にしゃがみ込むと有無を言わさずに、乱暴に唇を奪われる。彼が満足したところで、離れる唇。次に何をされるかわからなくて、一層体が震えるけれど、それはこの人を興奮させる材料でしかないらしい。

「そんなに怖がるな」

口調も笑顔も優しいけれど、目の奥には狂気を孕んでいる様に思える。腕を引っ張られ布団に無理矢理組み敷かれる。ついに泣くもんかと目に溜めていた涙が溢れて止まらなくなる。泣かないでくれ、なんて。頬を伝う涙を土方さんの舌が拭っていく。

「助けて……、銀ちゃん」

禁句なのはわかってるけど、やっぱり愛しい人の顔は浮かんでくるわけで、舐められていたその頬は次の瞬間乾いた音ともに、ヒリヒリとした痛みに襲われる。

「俺の前で他の男の名前を出すなと、何度言ったらわかる。俺だって好きな女を叩きたくなんかないんだ」

そう言ってさっき振り下ろされた手は私の頬を優しく撫でるのだ。



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