夜、家に鳴り響くインターホン。こんな時間に俺の家に来るのは、ただ1人。折原臨也の助手で粟楠会専属の情報屋。高校3年生でまだまだ子どもなのに、危なかっしい雰囲気を持ったそんな女の子。仕方なしに扉を開けると、泊まりに来ましたーと慣れたようにズカズカと家に上がり込んでくるうい。

高3の女子高生とはいえ、もう立派な女性でもあるから簡単に男の家になんて来ては欲しくないけど、若い子が家にいるなんて、それだけで華があるというかなんというか。

「ういちゃん、あんまり簡単に男の家に行かない方がいいって教えただろう?」
「そうですね。赤林さんの言う通りですよね」

その口ぶりからして、最近よく一緒にいる四木さんと関係を持ってしまったのでは無いかと不安になる。折原とはほぼ同棲状態にあるみたいだし、そういう関係でも疑いはしない。俺もその内の1人ではあるのだが……。

「赤林さんくらいですよ? そういう心配してくれるの。あの人たちからそういうのかわすなんて到底無理な話しですよ」

そんな風に言われてしまうと、2人との関係を勘繰らざる得ないではないか。ソファーに座るういの隣に腰をかけると服の裾を握られる。それを見ないようにわざと視線を外す。

「そういう事するから、襲われるのわかっててしてるでしょう?」
「別にお金は発生しないから問題はないかと」
「じゃなくても複数の人とするなんてそれはもう不純異性行為だよ」
「じゃあ、赤林さんは我慢できるんだ」

そう無邪気に笑ううい。大人を困らせちゃいけないと説教するか。このまま流されてしまうか。

「我慢できるかできないかって言ったら結構我慢してる方だよ」
「赤林さんって、見た目1番悪そうなのに1番優しいよね。私に仕事頼まないのも赤林さんくらいだし」
「そういうやつが1番危ないことも知ってるくせに」
「へーそうなんだー」

わざとらしく掴んだ裾をユラユラと揺らされる。その手に手を重ねると少し不安に揺らぐ瞳。どこまで計算してるのかなんて思うけど、これは素直な反応だと受け取っていいだろう。少し力強く引き寄せて抱きしめると、スッポリと俺の腕の中に収まるういちゃん。ちょっと腰が引けてる辺り、俺がこんな事をするなんて思ってない証拠だろう。

「赤林さん……? ごめんなさい。そんなつもりなくて」
「おいちゃんにここまでさせといて今更それはないよね」

腰に手を回すとビクリと体を震わせたういちゃんにキスをするとまたあの不安そうな瞳。なに、手加減はしてやるさねと耳元で低く囁いたその声は、自分への抑制にも感じた。



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