私の家にいきなり押しかけてきて、ベッドに押し倒された。抵抗する暇などなく、完全にジンのペースに飲まれてしまった。
｢また勝手な行動をしたらしいじゃねぇか｣
｢何の話？｣
情事後に仕事の話しを、持ち出してくるなんて嫌な男。そんな嫌な男の女が私なんだけど。何番目かは知らないが。
｢今日は取引だったろ？｣
｢行ってきたよ。でも相手が約束と違うものを持って来ちゃってたし。向こうは最初から取引に応じる気なんてなかったんじゃない？｣
私が笑うとジンは不機嫌そうに、私に背を向けそういう時は殺せと言ってるだろと言ってきた。確かにあのお方からもそう言われてるけど出来ないものは出来ないのだ。それに世間的には死んだことにはなっているし、問題は無いはずだ。私はただ殺しは気分が悪いだけで、善意で逃がしてやっているのに。
｢っていうかジンが何で逃がしてるって知ってるの？｣
｢調べればすぐわかる｣
｢じゃあ、何で上に報告しないの？｣
……黙ってしまった。組織からしたら私のしている事なんて、すぐにバレて私が組織に殺されているはずなのに、私は生きている。別にいいか。命はあるんだし。私は黙って背を向けたままのジンを置いてベッドから出る。ベッドの周りに散らばった下着を拾い身につける。
……冷蔵庫にチョコレートあったなぁ。そんなどうでもいい事を思い出しフラフラと冷蔵庫に向かう。軽い力をかけると開く冷蔵庫。黒くて平たい高級感のある箱を取り出し、ベッドに戻り腰をかける。いくつか食べてしまっているので、残りは数個。中には何も入ってないけど、この濃厚な甘さが大好きだ。サイドテーブルに箱を置いて、次はどれを食べようか悩んでいると、後ろから起き上がる音が聞こえた。帰るのかなと思っていると腰に手が回ってきた。口の中でコロコロとチョコを転がしているとジンに、顎を捕まれ無理矢理キスをされてしまう。
口の中で甘いチョコレートがドロドロとジンの熱い舌と共に溶けていく。ジン、甘いの嫌いなのにな。何度か角度を変え噛み付くようなキスが終わると、ジンは唇を離し甘いと呟いた。