*現パロ。坂田社会人×夢主大学生

「銀ちゃーん。銀時さーん」

今日は家に帰るつもりだったけど、どうやら銀ちゃんの甘えたい瞬間と重なってしまい、帰ろうとした私の腕を捕まれ、銀ちゃんの左腕はしっかり私の腰に回っている。右手は私の頭を優しく撫でていて、耳には舌を這わせてくる。甘えたモードMAXの状態である。私は腰に回っている銀ちゃんの腕を軽く叩く。

「銀ちゃーん。私、帰りたいんですけど」

嫌だと言う様に私を引き止める腕の力を強めただけで、帰す気はないらしい。1週間くらい家に帰ってないから帰っておきたいたんだけどな。

「明日からまた泊まりにくるって。それに明日はデートの約束してるじゃない」

耳を舐めていた舌が止まった。満足したかなと思ったけど、頭を撫でている手と腕はそのままなのでまだ満足はしていないらしい。時間はまだ17時半。今日は夕飯を家で食べるって連絡しちゃったから帰らないと。私の好物、母親特製オムライスが待っているのだ。カーペットの上でずっと座っていると、座り心地か悪くなるのか少し体制を変えようと身をよじり座り直した銀ちゃん。

「今日も泊まっていけよ」

耳元で響く低い声。私がこの声に弱いの知ってるから。卑怯だなぁ。だが銀ちゃんには悪いが今日は帰らないと。っていうかいつもより甘えている時間が長いのは気のせいだろうか。……何かあったのかな?

「銀ちゃーん。銀時」
「ん?」

話しを聞いてくれるのか耳元の動きがとまった。それにまた腕の力が強まった。ちょっと苦しい。逃げないよと言うとちょっと力を弱めてくれた。可愛いなぁ。

「何かあった?」
「なんもねーよ」

銀ちゃんが後ろから顔を近づけてくるから銀髪の天パが首に当たってくすぐったい。ああ、もう絶対何かある。何だ? 何だ? そういえばこの前同僚3人で飲みに行ってたな。

「この間の飲み会で土方さんと高杉さんに何か言われた?」
「……なんもねー」

間があった。きっとこの事だ。その日は何か寂しげな様子で帰ってきて、それで私が何かあった? って聞いたらその時は笑顔で何もねぇよって笑ってた。だから、理由がわからないままなのだ。

「何かあるでしょ」
「……俺のこと嫌いにならねぇ?」
「ならないよ」

優しいし私のペースに合わせてくれるし、一緒に甘いものも食べに行ってくれるし。嫌う要素なんてどこにもある訳がない。

「土方と高杉は彼女と同棲してんじゃん?」
「うん。それがどうかしたの?」
「何か2人に比べて、俺はあんまりういの側にいてやれて無いんじゃないかって」

頭を撫でていた手も腰に回ってきて、今までよりも、もっと力強く抱きしめられる。側にいてやれてないって。そんな事思ってたんだ。

「私はそんな事思ってないよ」
「ほんとか? 銀さんういに寂しい思いさせてない?」

してないよと、私は銀ちゃんと向かい合わせになろうと少し強く体を動かして、銀ちゃんの首に腕を回す。今まで銀ちゃんの表情がわからなかったけど、かなり切羽詰った顔をしていて、いつもの余裕な銀ちゃんはどこにもいなかった。

「寂しくないよ。私、しょっちゅうバカップルだねって言われるんだから。だから1番幸せだよ」

自分で言ってて、かなり恥ずかしいが本心だ。銀ちゃんは安心したのか、いつもの余裕ありありな顔に戻った。さてと、銀ちゃんも安心してくれたことだし。

「じゃあ、帰るね」
「えっ、待って。ういちゃん鬼?」
「いやね、今日夕飯いるって言っちゃってるし」

だから帰らないとね、と続けようとしたら銀ちゃんの口角が何かをいい事を思いついたように上に上がったと思ったら、体を反転させられ最初の体制に戻ってしまい、また甘えたモードに入ってしまった。

「やっぱまだ甘えたらねぇ」

そう優しげに耳元で言われてしまえば私は抵抗するすべを無くしてしまう。オムライスはまた今度かとそのまま優しい熱に身を委ねた。



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