今日お店は休業日。隣で寝ている顕も今日はお休みなので、まだ起こさないでおこう。夜に倉田屋の事は何も言っていなかったから、起きて落ち着いてから行っても大丈夫だとは思うし。ベッド際のカーテンを開けなくても、差し込む光でいい天気だとわかる朝。こんな日は朝からのんびり少し広めのベランダで朝食をとるのが大好きだ。

簡単に身支度を整えて、冷蔵庫を開ける。ゆっくりしたいので手の込んだモノはよそう。食パン二枚をトースターへ。フライパンでスクランブルエッグとウインナー。何だかんだシンプルなのが一番美味しい。もちろん、顕の分も忘れずに。

台拭きを持って、ベランダへ。机を拭いて作った朝食を並べる。飲み物はアイスミルクにガムシロを少し。商店街が少しずつ賑やかになっていくのをBGMに。一口、一口自分の好きなペースで食べられ事に喜びを噛み締める。いつもは朝の準備をしながら、片手間に食事を済ませてしまうものだから。

ほぼ食べ終わる頃に、窓が開いた。

「おはよ」
「起きた? おはよー。朝ごはん作ったけどいる?」
「食べる。……いい天気だな」
「だよね。顕もここでいい?」
「うん」
「じゃあ、準備するね」

「ありがと、顔洗ってくるわ」と洗面台に向かう顕に続いて私も一旦家の中へ。顕の分のご飯をレンジで温め直している間、私はデザートにリンゴを切り、アイスミルクをコップへ注ぎ直す。トーストも準備完了。再びベランダへ。少しするとさっきより幾分か目を覚ました顕もベランダへとやって来た。

「朝から優雅だな」
「お互い普段忙しいんだから、たまにはいいでしょ? 今日、倉田屋は?」
「今日は一日オフ」
「そっか。良かった」

うん、良かった。最近、顕は本当に働き詰めだったし。それに別の気苦労も絶えずでお疲れなようだったから。本人の口から聞いてはいないけど、一応彼女の私にきちんと会いに来る辺りだいぶ疲弊しきっていたと思う。ゆっくりと食事をする顕をジッと見ていると、見られていると食べずらいのか私から視線を逸らされてしまった。

「何だよ」
「ん? 顕が少しでも休められるとこがここだったらいいなって」

そう言うと顕は照れくさそうに「ありがとな、うい」と呟いた。



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