*緋色の物語1の赤井視点

屋上でメールを見ていると、例のボウヤから、同じ事を考えているのではと作戦を持ちかけられた。全てを聞き終わったあと、宮野明美との事とは別に、部下のういと今の彼女の事が頭に浮かんだ。……どちらもタフだから大丈夫だろう。彼女には寂しい想いをさせてしまうだろうが自分がFBIの捜査官である以上仕方の無い作戦だった。

ういには変装をして、身を隠すところまでは黙っておいて、水無怜奈を組織に返す所までは、協力をしてもらおう。そう考え事をして黙っていた俺にボウヤが不思議に思ったのか「赤井さん? 他に何かあったらその作戦でもいいけど」と心配そうに見上げてきた。

「いや、大丈夫だ。そうだボウヤ。一人協力者をつけていいか?」
「いいけど、誰に頼むの?」
「俺の隠し弾だ」
「隠し弾?」

頭の上にクエスチョンマークを浮かべてるボウヤを横目にういへと電話をかける。ふざけた返しをしてきたが、すぐに来るよう要件だけを言い電話を切った。

「俺には一人部下がいるんだ。直属のな」
「へぇー。赤井さんの直属の部下って事はすごい優秀なんだね」
「いや、ただの厄介者を押し付けられただけの様な気もしなくはないが」
「でもその割には側に置いてるんだね」
「ういの強みは咄嗟の判断に強いのと俺に噛み付いて来る様な性格。そうでも無いと俺の部下なんか務まらんだろうからな」
「相性がいいんだ」
「かもしれないな」

そんな会話をしていると、ういが屋上に現れた。どうやらボウヤとは元々知り合いだった様で、話しは早く進んだ。本堂瑛祐を巻き込むのを少々不安に感じていたようだが、そんな事は気にしていられない時もある。浮かない顔をするういに、自分の立場を再確認させると、納得したのか下へと戻って行った。

「赤井さん」
「どうした、ボウヤ」

視線を下げるとそこには、眉間に皺を寄せた顔。

「身を隠す事は言わなくて良かったの? ……悲しむんじゃ……」
「ああ、それは大丈夫だ」

何かの確信を得ている俺を不思議そうに見上げたボウヤ。その表情に俺は自身が思ってるよりういを信用しているのだなと口元が緩みそうになる。

「簡単に死んだなんて思われたら、その場でクビだ」

そう言った俺にボウヤは安堵の表情を見せた。そう俺の部下であるなら、早く真相を見破って手を貸せ。それくらい思っても構わないだろう。さぁ、作戦の開始だ。



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