*左馬刻がヤンデレ
*暴力表現有

「好きだ」

そう好きな人から幾度と言われて、嬉しくない女の人がいるのだろうか。もちろん私だって例外無く、嬉しい。いや、嬉しかった。

いつからだろう。「好きだ」という言葉が重く感じる様になってしまったのは。私の気持ち的に重く感じる訳では無い。左馬刻くんの雰囲気が重くなっていくのだ。

「好きだ。うい」
「うん。嬉しいよ。ありがとう」

体に痣まで作って、震える体を壁際にまで追い詰められてまで、言われる言葉だったっけ。怖くて泣きながら、感謝を伝えるような言葉だったっけ。

街中の本当に普通の飲食店で私と彼は出会った。後に彼はこの店の味を気に入ってくれたのか常連になってくれて、それから告白をされた。もちろん、彼の職業は知っていたけれどもそれも気にならないほど、私も彼を好きになっていた。

家族を大切にしている事も。女の人や子どもにはとても優しい事も知っていた。どこで、こんな事になってしまったのだろう。きっかけはほんの些細な事だったのかもしれない。その日見るからに機嫌の悪かった左馬刻くんに暴力を奮われた。その時の左馬刻くんは左馬刻くんで無いかのようで、彼自身も何かから目覚めたかのように、泣いている私を見つけていつもの様に優しく抱きしめてくれた。一時の事。そう思っていたけど、治らなかったのだ。今もまた怖がる私を見つけた彼は、私を抱きしめた。

「ごめん、うい。ごめんな」

謝られるようになったのもいつからだっけ。私より震えているのではないかと思う体で、私を抱きしめ、本当のごめんを伝えてくる彼をもう私は理解できないのだ。

「うい」
「どうしたの? 痛いよ、左馬刻くん」
「ごめんな……」

やはり謝ることしかしない左馬刻くんから、逃げる事も出来なくて。ただただ、抱きしめられている私も身動きが取れないままでいるのだ。

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