「え? どういう事だい? それは?」

あの命令を受けて、高校を探して受けたい所が決まった。慊人さんにも了承を受けて、少しずつ準備が整い始めたので、3人にもそろそろ報告をしておこうと下校途中に切り出したら、結構驚かせてしまったようだ。

「綾女、落ち着いて」
「だって、一緒の高校に進学しようと話してたじゃないか」
「何かあったのか?」

はとりが綾女を制しながら、真剣な表情で聞いてきた。別に私的にはそんなに騒ぎ立てる事でも、心配そうにされるとも思わなかったので、苦笑いを浮かべてしまう。

「んー、気持ちの変化かな。草摩の外でも暮らして見たいって思ったから進学はいいきっかけかなぁって。自分の視野も広がるしね。そんな悪い話じゃないとは思うけど」
「それは立派な考えだと思うよ。少し寂しいけどね」
「そうだな。でもういがそう考えてるいるのなら、止めることも出来ないな」
「そうそう。ちょっと早目の自立だよ」

綾女とはとりは、俺たちも少しは考え始めないといけないなと納得をしてくれた様だ。慊人さんに言われた事は気付かれてないようで、胸を撫で下ろす。けれど、1人こちらを不満そうな顔で見つめてくる人物が。

「紫呉も私の事、褒めてくれていいよ」

そう茶化しながら、笑いかけて肩を軽く叩いた。しかし、紫呉は暗い影を落として下を向いて呟く。

「僕達といるのが嫌になった……とか」

私もはとりも綾女もその一言に、思わず立ち止まって紫呉を見る。どうして、そう捉えられてしまうのだろう。一切そんな事は無いのに。そんな風に思われるのは、嫌だ……。

「そんな訳無いじゃん! そうそう、慊人さんにひとり暮らしして、通いたい高校行くって言ったら、週末とか休みの日は必ず顔を出すようにって条件はあるし。みんなの事、嫌いになる訳無いじゃん」
「そう」

短く返答した紫呉は、足早に先に帰ってしまった。残された私達はその場に立ち尽くしてしまう。私は去っていく紫呉の後姿を見ながら、目頭が熱くなり、涙が込み上げくる。

どうして、何でそんな事言われなくてはいけないのだろう。嫌になる訳ないのに。わかってもらえない悔しさに次々と零れる涙が止められない。綾女が近づいてきて、優しく頭を撫でられる。

「こういう時に抱きしめられないのは、少し辛いね。大丈夫だよ。うい。僕はそんな風には思ってないから」
「紫呉はひねくれてるからな。あんまり気にするな」

優しい声色で2人が帰ろうと言ってくれるのが嬉くて。綾女がハンカチを手渡してくれて、手を繋いでくれる。はとりも隣で大丈夫だと励ましてくれながら、その日は温かい気持ちに包まれながら、帰り道を辿った。



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