最後の授業が終わるチャイムが校内全体に響き渡った。今日は金曜日で周りの人達もいつもより顔が生き生きしているように見える。帰りのHRも終えて、私はいつも通り保健室へと向かう。扉を開けると先生はもう帰る支度を始めていた。

「あれ? 今日はもう帰るんですか?」
「用があるんでな」
「じゃあ、夜ご飯は無しですか?」
「いつも奢ってもらえると思うな。俺は今から大人の話があんだよ。そうだ、明日俺ん家に招待してやる」
「光栄です。高杉さまー」
「その棒読みやめろ。詳しくはまた連絡するから」

そう言って、足早に保健室を去っていった先生。なんなんだ。大人の話って。彼女さんとのことかな? まぁ、いいや。私も靴箱に向かい、帰路へと着いた。

次の日の夕方頃、家でダラダラとしていた所に電話がかかってきた。家周辺に車を停めて待ってるから下りてこい。1日泊まっていいから、準備も忘れるなよとそれだけ伝えられて、電話が切れた。泊まれるように鞄に必要なものを揃えて家を出ると先生の車が遠目に見える。車まで少し歩き、助手席に乗り込むとゆっくり車は発進した。

初。高杉先生の家。黒を基調とした家具たち。
机の上には一緒にスーパーで買ってきた惣菜たち。そして、高杉先生のお酒と私のジュース。車の中で彼女と別れた事を聞いていたので、なるべく空気が重くならないようにと適当に明るくしようとする。

「お別れ記念おめでとー。ドンドンパフパフ」
「微妙な効果音ありがとよ」

手元のお酒を一気にあおった先生。別にお酒強いのは、知っているので特に心配はしていない。

「私ばっかに構ってるからですよ」
「ほんと、そうだ。責任とれ」
「責任とれって。彼女にでもなれって言うんですか」
「誰がういを彼女にしたいって」
「すみません」

そんな凄まなくても。思っていたより、彼女に振られたことがショックなのかグイグイお酒が進む高杉先生。

「今日は一段と呑みますね」
「女に振られるなんて初めてだ」
「はぁあ。モテる男は言う事が違いますね」
「ういさっきから俺のこと馬鹿にしてんだろ」
「決してそんなことないですよー」

目の前のからあげをモグモグ。 横目で先生が恨めしそうな目で見てくるけどそんなのシカトだ。

「やっぱ、責任とれ」
「私、さっき振られたばっかなんですけど」
「抱きしめて慰めるとかできねぇのかよ」
「珍しく酔ってますね。そろそろお開きにします?」

先生の顔を覗き込もうとした瞬間腕を思いっきり引っ張られ、そのまま先生の腕の中へ。どういう状況だ。これ。

「ちょ、先生?」
「ういでも慌てるんだな」

私の様子を見て、楽しそうに笑っている。何か悔しくて私も先生の背中に腕を回して力一杯抱きしめた。先生がどんな顔してるかわからないけど、驚いてたら嬉しいな。



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