ずっと雨が続いていたから本当に体調が悪くなっているのに気づかなかった。意識が戻った時には点滴の管が腕に繋がれていて、横には書類を見ていているはとりさんが見えた。目が覚めたのに気づいたはとりさんは、聴診器をつけて胸、背中と手際よく聴診を始めた。

「とりあえず大丈夫そうだな。気分はどうだ?」
「ぼーっとしてます。あの、私」
「俺が見つけた時には意識混濁寸前だったからな。雨続きだからと気にしてなかった俺も悪かった」

雨のせいも相まって相当の高熱続きだったそうだ。倒れてから2日間丸々寝ていたそうで、倒れる少し前からの記憶が無い。はとりさんに見つけてもらえて良かった。

「はとりさんが謝らないでください。体調管理出来てない自分が悪かったんですから」
「これからは少しでもおかしいと感じたらちゃんと診せに来てくれ」
「わかりました」

安心した顔に戻ったはとりさんは、周りの片付けを始めた。そう言えばここは診療室でもなければはとりさんの自室でもなく私の部屋な訳で。

「あの、はとりさん。もしかして付きっきりだったんですか?」
「夜とか時間が空いてた時はな。体調も心配だったし何より目を覚ました時に誰か説明出来るやつがいないとういが不安だろうと思ってな」
「ありがとうございます」

それがはとりさんの仕事だからだとしても、その優しさにやっぱり好きだと再認識をさせられてしまった。私ははとりさんに何が出来るのだろうか。荷物をまとめてまた覗きに来ると言った背中を呼び止めた。

「はとりさん、今度何かお返しを」
「早く元気になってくれるのが1番のお返しだ」

そう優しく微笑んで出て行ってしまった。やはりはとりさんから見れば私は草摩の物怪付きの1人であって、それ以上は無いということはわかっている。それでもはとりさんに少しでも近づきたくて意識を取り戻したばかりでもそればかりを考えてしまっていた。



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