最近組織に関して手詰まりを感じていた。待ってても奴らに終わりは来ない。変化を起こすのはあまり良くないし、これ以上人を巻き込むのも良くない。けれど、誰か使えそうな人間はいないか公安の中で探している最中の出来事だった。

「あの子ども絶対何か知ってるのになかなか口を割りませんね」
「最近の子どもは大人にも物怖じしませんからねぇ」

そんな会話が耳に飛び込んできた。確かあの2人は政治家の汚職事件担当だったよな。そこに子どもの話が出てくるのは少し不思議な話だと耳を傾けていた。身内の子どもに話しでも聞いているのかなど考えていると、ねぇ、もう帰っていい? と取り調べ室のドアが開いた。おいおい、見張り立てとけよ。

「まだダメに決まってるだろ」
「予定があるんだって。話すことは話したし解放してよ」

首元にイヤホンをぶら下げて、パーカーにジーパン。かなりラフな格好の17くらいの女の子。取り調べ室に押し戻されるのを見て、閉まりかけの扉に手をかけた。

「その子どもの担当俺に任せてくれないか?」
「けど、降谷さん忙しいんじゃ」
「ふーん。何か話し通じそうな人じゃん。私も担当変えて欲しい」
「威勢のいい子どもだな。俺が上に言っておくからここは任せてくれないか」

降谷さんが言うならと渋々2人は引き下がった。扉を閉めて子どもを座らせながら、俺も向かいに座った。手元の資料によると彼女の名前は上杉うい。17歳。職業、情報屋。……情報屋。

「まず、今回捕まった政治家について知ってる事を全部話してもらおう」
「またぁ?」

不満げにしながらも仕事モードと言うやつなのか淡々と情報を並べ立てる。中でも不倫をしていて、金銭が発生していたのは公安の中でも知っている者も少ない。そして、彼女はこの情報は初めてしゃべったと言った。それは何でだ? と聞くとあんたになら話しが通じると思ったからと笑う。

「なるほど。そういえばまだ名乗っていなかったな。俺は降谷零だ」
「降谷さんね。ねぇ、本当に全部しゃべったんだって。次の仕事あるから早く終わらせてくれない?」

早く出してよぉと騒ぐ彼女を前に先程聞いた情報を頭の中で繰り返す。的確な情報に信用度が高いそれ。子どもという観点から面白い情報が集まりそうだ。

「あぁ、すぐに出してあげるよ。ただ個人的に少し時間をもらえないか? 仕事の依頼がしたい」
「個人的にだよね。ならいいですよ。何のご依頼で?」
「FBIの赤井秀一について調べて欲しい」
「FBIねぇ。一週間半時間が欲しい。報酬はそうだなぁ。高い焼肉でいいかな」
「期限はそれでいい。金はいいのか?」
「個人的にと言われても降谷さんそれなりに上の人間ですよね? 何でお金はいらないのでご飯の面倒みてください。これでも生活カツカツなんですよ」

わかったとお互い了承したところで、ういを返した。さて、赤井秀一相手にどこまで情報が取れるかお手並み拝見といこうじゃないか。



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