ういの大事な友達、家族。社会人として頑張ろうとしていた職場。全てを奪った。ういは泣きながらも全て受け入れて、婚姻届にサインもしてくれて。ここまでしているのにどこかまだ不安になる俺はやはりどこかおかしいのかもしれない。けれど、家に帰るとそこにいるういを見ると安堵に包まれるのも事実だった。

欲しいものはなるべく早く手に入れプレゼントをして、やりたい事があればすぐに出来るように準備をして、嬉しそうなういはちゃんと嬉しそうに見えていた。

けれど、最近ういの笑顔を見ていない。俺はういの笑顔がそばにあればそれで良かったのに。その原因など火を見るより明らかで。俺が外に出る自由を許せば解決する。そんな事はわかっていたけれど、ういは俺を抑える為に一切その事は口に出さないでいた。

優しすぎるういに甘えている。それでも、ういの自由を許してしまえば本当に俺自身どうかしてしまうかもしれない。きっとういも長い間俺のそばにいたからそれをわかっているのだろう。

「うい」
「どうしたの? 碧君」
「……好きだ」
「どうしたの? 改めて好きだなんて」
「言いたくなったから言っただけだ」
「そっか」

ういから好きだとは言ってくれないのだろうか。そうだよな、嫌われててもおかしくないんだ。こんな状況。

「碧君、私もねちゃんと碧君のこと好きだよ。それは昔から何にも変わってない。ただ、ちょっと私達おかしな方にいっちゃっただけだよね。もう、私はどんな事があっても碧君に着いていくって決めてるから大丈夫だよ」
「何で、そんな物分りいいんだよ」
「だって、碧君の奥さんだもん」

そう言いながらういは笑った。久々の笑顔に柄にもなく目が潤んでしまった。それすら見ない振りをしてくれるういはなんて出来た女なのだろう。

「碧君、私本当にもう大丈夫。碧君のことちゃんとわかるようにしていくから」

俺がういの事もおかしくしてしまった。それすらも嬉しくなってしまった俺はどうしようもない奴なのだろう。これからもういを大切にここに留めておきたい。目頭がだんだん熱くなるのを誤魔化すためにういの柔らかい唇に自分の唇を押し付けた。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -