あの先輩の事件以来、私は男の人を遠ざけるようになった。でも、あの時と違ってもう碧君は彼氏だし、今まで周りにちょっと行き過ぎだと言われていた事もそんなに想われていて羨ましいという言葉に変わっていた。

だから、私はどんどん碧君に堕ちていく。就職した会社は女の人ばかりの会社にした。やっぱり碧君がちょっぴり怖かったから。仕事は忙しかったけど、毎日が充実していた。

ある時、会社の方針が変わって同じ系列の会社から男性社員が1人上司としてやって来た。とても熱血な人で少し仕事量は増えたけれども残業はなかったし、不満もなかった。

碧君には男性社員の人が増えたことはしばらくは黙っていたけど、私が社会人になってからは前みたいな過保護になる事も減ってはいたから、何となしにその話題を出してもそうなんだな、無理はするなよと言っただけだった。

過ぎた行動が目立たなくなっていたから油断していた。私もたまたま繁忙期で残業が半月ほど続いていた時の事だった。何かが碧君の逆鱗に触れてしまったのだ。

「最近、帰り遅いな」
「うん。今繁忙期だししょうがないよ。碧君も普段から忙しいからわかるでしょ?」
「この間の繁忙期の時はそんな事無かったじゃねぇか。この間言ってた男の上司のせいか?」

碧君の目があの時先輩の胸ぐらを掴んだ時の目と一緒の目つきになる。このままでは、上司に何をするかわからない。

「違うよ。会社全体で今他の会社に負けないようにって営業とかが多いだけだから」
「そうか」

それならいいんだと優しい目つきに戻った。けれど、翌々日上司は会社から姿を消した。誰も原因はわからなかったけど、疲れ気味の社員達はこれで通常に戻ったと嬉しそうにしていたけど、私はなぜか冷汗が止まらないでいた。



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