*強い左馬刻はいないです

「うい」
「どうしたの? 左馬刻くん」

お互い何も無いのんびりとした休日。ソファでそれぞれ本を読んだり携帯をいじったりしていたけど、いきなり左馬刻くんは後ろから私を優しく抱きしめた。いつもの自信満々の様子ではなくどこか消え入りそうなその声に何かあったのかと心配になる。

「うい」
「左馬刻くん、どうしたの? 体調でも悪い?」

何も返答はなく何か只事ではないかもしれないと私も読みかけの本にしおりをして、後ろから抱きしめている体温に身を預けた。

「体調は悪くねぇ」
「そうか、それなら大丈夫だねって。大丈夫じゃ無さそうだけど……」
「…………ういはいなくなるな」
「え?」
「どこにもいくな」

回してきた腕の力は強まった。きっと左馬刻くんは今までにいろいろ失ってきたから急に不安になってしまったのだろうか。そんな私に助けを求めるように抱きついてくる左馬刻くんが愛おしくなってしまう。

「私はどこにも行かないよ。ずっと左馬刻くんのそばにいるから」
「絶対、だからな」
「うん。絶対」

愛した人を1人にはしたくない。それは私も同じ想いだ。力の篭もる腕に優しく手を重ねると首筋に優しいキスが降ってきた。



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