あれから碧君に言われた通りに夜が遅くなる時には迎えに来てもらうというのが定着し始めた。元々碧君はMTCのリーダーで知っている人は知っている火貂組の若頭なので、顔を知っている人は少なくない。

なので、私の周りでちょっとした噂になっていたのだ。前からたまに碧棺の彼女だよな? みたいに絡まれたりはたまにしていたが、その時は本人を呼び出して何とかしてきた。

次のコマまで時間があったので、大学に併設されているカフェで講義のまとめをしていると大学内で1番仲のいい愛ちゃんが向かいの席に座った。愛ちゃんは私の手元を覗き込み真面目だねぇと携帯ゲームを始めた。

「うん。細かくまとめておかないと不安で」

続きをまとめようとシャーペンを握り直すと碧君からメールが来ていたのに気づいて画面のロックを外す。今日の夜一緒にご飯を食べに行く約束をしているので、そのまま大学に迎えに行けそうという内容だった。

「何、そんなニヤニヤしてるの? 彼氏でも出来た?」
「違う違う。今日の夜碧君とご飯行くから大学に迎えに来てくれるって……」

愛ちゃんには碧君とは昔馴染みだと話しをしているから何気なくメールの内容を話してしまったが、愛ちゃんの顔は神妙な面持ちをしていた。

「どうしたの? 難しい顔して」
「前から思ってたけどさ、その碧棺さんっていう人すごい彼氏面してるよね」
「そ、そうかなぁ。昔からこんな感じだからよくわかんないや」
「まぁ、ういが大丈夫なら大丈夫だけど。本当にういが好きな人が出来た時とかどうするの?」
「どうするって、どうもないよ」
「そっか……」

どこか納得のいかない顔をしている愛ちゃんだったが、時間になってしまい講義室に行かなければいけない時間になり2人で移動をした。

授業も終わりかけの頃、窓側に座っていた私はふと大学の門当たりを見ると碧君の車が停まっているのを見つけた。すぐ側に碧君が煙草を吸いながら見上げた先に私を見つけたのか軽く手を振ってきた。私も小さく手を振り返してから隣を見るとやっぱり愛ちゃんの顔は心配そうに私を見ているだけだった。

授業が終わり、少し周りの視線を感じながらも助手席へと乗り込んだ。

「碧君、すごく目立ってるから今度から別の場所で待ってて欲しいな」
「わかったよ」

ゆっくりと車が発進をして、少しお洒落な店内のカフェ&バーに来た。前からネットでチェックしていて来てみたかった所だ。碧君が予約をしてくれていたので、個室へと案内され美味しそうなお肉の料理とお酒を注文した。

料理もお酒も美味しくて碧君も満足してくれたみたいだった。碧君の家が近いので車はそのままで徒歩で碧君の家へと行く。普段から泊まりには行っているので、荷物は置いてあるから碧君の家に行く時は身軽でいいなぁなんて、能天気な私はやっぱり碧君の手中にまんまとハマっているわけで。

「うい、コンビニ寄っていいか?」
「いいよ? 何買うの?」
「ん? ビール」

そういえば碧君ずっとカクテルばっか飲んでたっけ。やっぱりビール好きはビール呑みたくなるんだなぁ。コンビニで買い物を済まして碧君の家にお邪魔した。私も勝手知ったる家なので、そのままシャワーだけを借りてリビングのソファを倒してベッドにしてすでにおやすみモードだ。碧君もシャワーを浴びてさっき買ったビールを倒したソファにもたれて飲み始めた。

「碧君、明日は?」
「休み。ういは?」
「私も何も無いや。最近お休みよく被るね。明日は碧君の家でゆっくりしてようかな」
「好きなだけいろよ」
「ありがと」

お酒の力もあってかそのままウトウトしてきた。碧君が頭を撫でてくれているのが気持ちよくてそのまま夢の中へ。夢の中で碧君が頬にキスをしてきた様な気がしたけどそれは夢なのか、現実なのかわからなかったけど、不思議と嫌ではなかったのだ。



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