年上の近所の優しいお兄さん。……と言う言葉は私や家族に対する態度を表わす言葉だと思う。普段はずっと不機嫌ですぐにキレる。周りからは怖がられる存在である事は確かだった。

私も大学生になりひとり暮らしを始め、高校生の時よりも行動範囲は広がるし、交友関係も広くなるから夜遅くまで遊んで帰ると言うのは憧れの生活だった。

ただ、ひとり暮らしを始められたのも碧君がいるから大丈夫だよねという両親の一言から。何かあったら俺に言えとは言われていたが、もうこれは半同棲なのではないかと言えるほど碧君は私と過ごしていた。だから、夜遅くまで遊ぶなんて言語道断だったし、なぜか誰とどこで遊ぶという子供じみた報告も碧君にしなければいけなかった。

最初は嫌だと抵抗をしていたけれど、それならひとり暮らしは無しだなとすごく不機嫌になる碧君がすごく怖くは感じていて、何も言えずに今まで来てしまったのだ。

でも、それ以外はとても優しい碧君だし少しの不満くらいと目を瞑っていた。

ある日大学の集まりの飲み会に急に呼ばれた。碧君に今日大学の人達と飲み会になったから遅くなるねとメールだけを残し、授業を終えて、飲み会に参加をしていた。今まで喋ったことがない先輩や同い年の人も参加していて、お酒を片手に学校の裏話や今度のテストはどんな感じかなどお喋りを楽しんでいた。ふと、気づくと時間は終電手前だった。全然気にもしていなかった携帯を確認すると異常な数の不在着信が来ていた。中を見なくてもわかる。碧君だ。私の顔が固まっていたのか近くの先輩に気分でも悪くなっちゃった? と心配をされてしまった。大丈夫ですと答えると先輩はみんな一緒の駅だしそろそろ帰ろうかとお開きになった。解散をして地元の駅に着くや否や猛ダッシュで帰宅をした。

息を切らしながら家の扉を開けた。電気はついていなくて、さすがに待ってはいないかと安堵して電気をつけるとそこにはソファに座っている碧君がいた。びっくりしすぎて声を出せないでいると碧君はゆっくりとこちらを振り返っていつもの優しい声でおかえりと言った。

「た……だいま」
「遅くなるのは構わないが帰る時の連絡くらいいれろ、なっ?」
「これからは気をつける、ね」

立ち上がった碧君は私の前に立ち私の頭を乱雑に撫でた。

「心配するだろ。今度からは迎えに行くから遅くなる時は連絡いれろ」
「それは、いいよ。碧君は碧君で忙しいでしょ?」
「俺がそうしたいんだ。いいだろ? 明日も早いし帰るわ。おやすみ」
「おやすみ」

私の顔を見て安心したのか緩んだ顔をした碧君はそのまま家を出て行った。



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