ふと道沿いの店に目を向けるとういが男と食事をしているのを見つけた。……何やってんだ。俺様以外の男と食事なんざ許した覚えもない。幸いにも仕事終わりの帰り道。運転する部下に車停めろと言うと軽い悲鳴とともにはいぃいと返ってきた。よほど俺の声にドスが聞いていたのか。車が停り先に帰ってろと伝え車を降りる。荒々しくドアを閉めると、周りがビビっている。だが今はそんな事に構っている暇はねぇ。今、最大に虫の居所が悪い。

店内に乗り込むと店員に人数を聞かれ、先に連れがいると言って、ういがいる席に向かう。俺に気づいたういは呑気にヒラヒラとこちらに手を振って、左馬刻くんだーと場に似つかわしくないのんびりした声を静まり返る店内に響かせる。俺に気づいた男は碧棺、左馬刻とビビり倒している。胸倉を思い切り掴んで立たせると恐怖からか涙目になっていく。

「おい、俺の女と何してる」
「す、すみません。許してください」
「うい、お前も何してんだ」
「だってね、美味しいお店があるんだって言われたから」
「ノコノコ着いてくるんじゃねぇよ」

男の胸倉を掴んでた手を離すと伝票を引っ掴んで、震えながら会計を済ませ出て行った。

「腰抜けちゃってたね。可哀想」
「帰んぞ」
「はーい」

おさがわせしましたと店内に向かって言うういの手を引いて、店を出る。歩くのが遅いういに合わせながら速度を落としていく。

「ねぇ、この後楽しいところに連れてってくれるって言ってたんだけど」
「俺以外の奴に騙されてんじゃねぇよ。んなもんホテルに連れ込む気満々だろうが」
「遊園地とかブランド品とか買ってもらえるもんだと」
「遊園地にも欲しいものがあれば俺がなんだってしてやるよ」

左馬刻くんやっさしーとまたあののんびりとした声。いい加減俺様の女だという自覚をちゃんと教え込まないといけないのかと思っていると腕をからませてきたうい。

「全部全部、左馬刻様が守ってくれるよね?」

当たり前だろと返す事しか出来なくて1番ういに絆されているのは自分だと気づくほかなかった。

Inspiration:確かに恋だった



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