友達が警察で働いていて、MAD TRIGGER CREWの人達と飲み会出来ることになったからういもおいで! と誘われた。特にグループ自体に興味は無かったものの、今後の話しのネタにはなるかな? くらいの勢いで着いてきた。

居酒屋につくと少し広めの個室に通される。私以外の人は大体警察関係者の人たち。そこに碧棺さんと毒島さんが顔を出すとの事で、有名人見たさに集まった女の子が数人。ざっと20名くらいの飲み会だ。ただ、人数を見て固まってしまった。私は大勢の飲み会が苦手なのだ。そんな私の様子に友達はごめんねと顔の前で手を合わせた。

「まぁ、有名人交えて数人の方がキツイしね。私は遠くから楽しんでるよ」
「私はMTCの人達とお話ししたいから、近くに座るねー」

そう手をヒラヒラとさせて、しっかりと毒島さんの隣をキープしていた。ガッツが凄いなぁと私も何とか壁際をキープする。入間さんを中心に話しは仕事の話からMTCへの質問コーナーみたいになっていた。毒島さんはどの質問にも律儀に答えていて、入間さんと碧棺さんは嫌々ながらも上手く交わしながらお酒を次々と飲んでいた。

聞き耳を立てながら今日は経費で落とすと聞いていたので、いつもは飲めないような高いお酒をゆっくりと楽しみながら、中心の会話に耳を傾けていた。途中御手洗に行きたくなって席を立つ。その戻る途中に壁に背中を預けて煙草を吸っている碧棺さんを見つけた。

突然呆然としてしまうのは仕方がないと思って欲しい。しかし、遠目でもわかるほど綺麗な顔を目の前に、本当に同じ人間なのかと疑いたくなるくらい整っている顔をしている。しばし、凝視してしまうとおい、大丈夫か? と声をかけられた。

「大丈夫です。別に体調が悪いわけじゃないです」
「黙ってずっと飲んでたから、ちょっと気になってな」
「意外と優しいんですね」

思わず失礼な事を言ってしまった事に謝るとよく言われると口を緩ませ微笑んだ。不意打ちのその顔に見惚れてしまった。携帯灰皿に煙草を片付けた碧棺さんは、こちらに顔をむけた。

「そろそろ見世物になるのも飽きてきた頃でな。先に2人で抜けて帰らねぇか。家まで送る」

私も先に抜け様かなと思っていた頃だ。けど、あの碧棺さんに送ってもらうなんて気が引けるなぁ。少し迷っているとほら、行くぞと有無も言わさずスタスタとみんなの元に戻って行ってしまった。私も後を着いて行って戻ると、碧棺さんは入間さんに耳打ちをした後、みんなに、先に帰るわと言って出て行ってしまった。後を追いかけた方がいいのかな? さっきのはからかわれただけで、1人で帰っていくのかもしれない。やはり帰るのはやめようかとも思ったが私も帰りたい気持ちは同じだったので、この流れに乗ろうと愛ちゃんに私も帰るねと言うとまさか碧棺さんと? と言われたが、違う違うと否定をして、みなさんに失礼しますと頭を下げ、居酒屋を出た。

店の扉を開けると外の空気が気持ちいい。少し熱かった体を冷まそうとしていると、店先で煙草を吸っている碧棺さんをみつけた。本当に待ってた。私を視界に捉えた碧棺さんに家、どこだ? と聞かれる。

「本当に送ってくれるんですか?」
「女がこんな時間に1人だと危ねぇだろ。で、家どこだ?」

近所です、こっちですねと指を指すとまた先に歩いて行ってしまう。急いでその後を追いかけて、隣に並ぶ。

「そういえば、名前聞いてなかったな」
「上杉ういです」
「ういか。……彼氏はいるのか?」

唐突な名前呼びと質問に少し驚きながらもただの世間話だろうと深く考えずに答える。

「いないですね。そもそもいたら碧棺さんに送ってもらってないですよ」
「それもそうだな」

そんな話しをしながら家まで送ってもらう。次の角を曲がれば私のアパートだ。そこ曲がったとこですと道を曲がり家に到着した。

「送ってくれてありがとうございました」
「いや、男として当然の事をしただけだ」

見かけによらず本当に優しい人なんだなと改めて思う。もう一度頭を下げて、碧棺さんもお気をつけてと言うと、次会う時は名前呼べよと頭を撫でられて、去っていった。

私も家に帰り、お風呂に入って寝る支度をして、ベッドに入る。

「碧棺さん、次って言ったよね」

次とは、と考えているうちに眠気に襲われる。もし、次があったら左馬刻さんと呼ばないと何か言われるのだろうか。そんな事を考えながら眠りについた。

Inspiration:確かに恋だった



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