別れようと言われた。もちろん覚悟はしていたし、むしろいつ言われるのかな? と思っていたくらい。これ以上隣にいて欲しくないとまで言われてしまった。

「それは、ジンが犯罪者だから?」
「さぁ、どうだろうな。とにかくこれ以上俺に近づくな」

そっちから近づいてきてこんなにも好きにさせたのは、ジンなのに勝手だなぁ。まぁ、自分勝手なのは今に始まったことではない。それにジンが犯罪者だなんてこんな簡単な問題も最後まではぐらかそうとしてくる。それは、私を警察から守る為の行為という問題の回答の解説も出来るくらいなのに。こういう優しさに弱いの誰よりもわかっているくせに。

「嫌だ」
「うい」

なら、私も最後は勝手にしてやろう。そう簡単に手放したくはない。

「最後に普通にデートしてよ。それから別れたい」

しばらくジンは考え込んでいたがわかったと答えた。当日は何も変哲もないデートをした。駅前で待ち合わせをして、ご飯を食べて街を散策して、お洒落なレストランでディナーを食べて夜景を見に来た。これでジンとも最後かと泣きそうになってしまう。

「ジン。今日はありがとね」
「これでういの気が済むのならそれでいい」
「ほんとに、バイバイなの?」
「ああ。そういう約束だろ」

腕をひかれて、キスをされた。頬につたった涙はもうジンは拭ってはくれなかった。頭を軽く撫でられ私のほうを見ないでそのまま去っていってしまった。

最初に好きって言ってきたのも、キスをしてきたのも、なにもかも向こうからなのに。最後までこんな一方的に好きをぶつけられてもどうしようもない。私はジンをちゃんと愛せていたのかな。もっともっと自分から好きだと言っていれば、ジンが犯罪者という立場でもやっぱり離したくないと思わせる事が出来たのかな。……私は捕まってでもジンと居たかったと伝えるべきだったのかな。

襲ってくる遅い後悔に涙が止まらなくなる。けれども、やっぱりジンは勝手だからそれを言っても跳ね除けて自分の愛を一方的に押し付けてくるのだろう。私がこの世界で生きていけれるように私の愛を受けてくれなかったジンの背中を見送りながら、そんな事を考えるのだ。

title:サディスティックアップル



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