*流血表現あり

殺伐とした焼け野原。傍らには死体。空気は二酸化炭素のが多そうで、とても吸いたい空気とは思えないけれど、酸素を求めて息をするが鉄の匂いも混じっていて、少しむせてしまう。その様子に総督に大丈夫かと心配をされてしまった。これだけ暴れ回ったあとに、冷静でいられるのはさすがだな。どれだけ仲間が亡くなったんだろう。私はどれだけの天人を切ったのだろう。晋助を追いかけて戦場まで来てしまったけれど、晋助の言うとおり江戸でのほほんと暮らしてれば良かった。

けれど、私の背中を励ますように軽く叩いて先を歩いて行ってしまう背中を見ると、着いてきても着いてこなくてもどちらを選んでも後悔してるのだろうなぁと思ってしまう。重たい腰を上げ背中を追いかけて、晋助の背中を右手で思い切り叩いたあと、私は大丈夫だよと言おうとしたら、晋助はその場に崩れてしまった。よく見ると腰の辺りから血が吹き出している。

「ちょっと、やだ。何で言わないの!」
「女に介抱されてたまるか」
「素直に抱き抱えられてる人に言われたくないよ」

嫌だと口で言う割にやはり体は辛いのか支えながら立ち上がると私に寄りかかってきた。晋助の身長がそれ程高くなくてよかったと心の内だけで思っていたのになぜか小脇を小突かれてしまった。

「今、身長が低くて良かったとか思ってたろ」
「晋助さんはエスパーなんですか。もうそんな元気あるなら1人で歩いてよ。低いと言えど男なんだから重い」

そう言っているのにわざと体重をかけてくる晋助。なんなんだ、この人は。本当にそこら辺に捨てていってやろうかと思ってしまう。

「お前のことなら何でもわかる」
「でしょうね」

私の左手首は多分ヒビでも入ってる。誤魔化せてると思ってたけど、右側に寄りかかってくる晋助が何よりも私を心配をしてくれるのは、わかっている。

「重傷者2人って早く銀時たちと合流しないと殺られちゃうよ」
「そんな簡単に殺られてたまるか」
「そんな血ダラダラの人に言われてもねぇ」

遠くに今の拠点が見えてきた。それを確認しながら晋助の肩を抱え直そうとしたら、晋助が離れて行った。また、私は背中を追いかける。

「1人で歩けるの?」
「女に抱えられてるところなんかアイツらに見せてたまるか」

はいはいと私はいつでも支えられるように晋助の隣に並ぶ。どこか苦しそうな晋助を見ているのがどこか辛くてやはり着いてこなければよかったと悔やむのだ。

title:サディスティックアップル



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -