「別れよう。赤林さん」

そう言ったういの目には涙が溜まっていく。あぁ、こんなにも感情を露にしてくれる様になったから手放し時なのかも知れない。俺にとっても彼女にとっても。

「……ういがそうしたいなら構わないよ」

もう俺なんかと付き合っている必要はない。なら、俺は冷たく突き放そう。その白い頬を伝う涙も拭ってやらない。

「赤林さんは私に同情して付き合ってくれていたんだよね。私に感情を思い出させてくれてありがとう」
「そうさね。出会った頃はこんなに泣いてくれるなんて思いもしなかったよ」

ヘラヘラしてる俺が気に食わないのか視線を逸らしたうい。まるで馬鹿にしないでとでも言いたげな顔をしている。

「ういと一緒にいたのは同情で正解だよ」
「そうだよね。……言ってくれた言葉も全部嘘だったんだよね」
「それはういの想像に任せるよ」

顔を伏せたういは床に置いていた鞄を掴んで足早に部屋を出ていった。その背中を見つめる暇もないほどういは俺の前からあっさりいなくなってしまった。タイミングが悪く携帯がなる。確認すると四木の旦那から電話だ。出ると何かあったのか? なんて。俺も感情を隠すのは得意な方だとは思っていたがね。

「好きな女泣かすのは心苦しいね。旦那」
「何の話だ?」
「何でもないですよ。用件は?」

きっと声が震えていたのだろう。またあとで電話をすると言われ、電話が切れた。



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