知らない間に仲良くなってる坂田にも、さっきからベタベタういに触ってるスタッフにもなぜかすごくイラついて。撮影が終わるまでなんとか苛立ちを抑えていたが、終わった時にはこっちに来いとういの腕をひいていた。

「ちょっと、待って! どうしたんですか?」

当然だがういはその行動に驚いていたが構わずに俺の控え室に引き入れた。扉を閉めてういを見ると警戒していてそれを見て我にかえった。

「悪い。急に」
「いえ、大丈夫です。えっと、どうしたんですか?」
「ういだったらああいう時自分で反論できるだろ。何で止めない?」
「だってあのスタッフいつもあんな感じですし。今日は坂田さんも土方さんもいたし大丈夫だろうと思ってたんですけど、逆にいつもより酷くて。兄様もこの事知ってるし、大きいところだから契約は切れないし、私が騒ぎ立てれるわけないじゃないですか」

ういは事務所の人間として大事な1人で社長の妹。いつも強気だけど大人の事情もちゃんとわかってての対応だったのに。俺がこんなに苛立ってバカみたいだ。

「悪い」
「でも助かりました。ありがとうございます」

ういは丁寧に頭を下げて、次の仕事があるので先に失礼しますと控え室を出て行った。俺も着替えて帰ろうと着替えを済ませ、控え室を出ると丁度帰ろうとしていた坂田と出くわした。なんとなく顔を合わせずらくて、お疲れと声をかけ帰ろうとしたらそのまま坂田が隣に並んできた。

「ういちゃんと何話してたの? セクハラのこと」
「……ういのが大人だった」
「しかしあれは酷いよね。高杉もガツンと言ってやればいいのに」
「止むにやまれる事情だろ。俺らが口出し出来ることじゃねぇんだろ」

一先ずこのセクハラの事は置いておこう。あとはもう一つの苛立ち。坂田とういの仲だ。坂田に今から暇か? と聞くと時間は空いてると言う。坂田もなんとなく何の話か察しはついているのかういちゃんの事? と聞いてきた。

「ああ、そうだ。坂田、お前」
「俺とういちゃんは友達だよ。それ以上はない」

そう言い切った坂田に内心驚いた。あんなにういの事を狙っていたのに、友達だと言った坂田に。

「だから土方がういちゃんの事好きだろうが構わないよ。何より怖いのは高杉だぞ」

泣かせたら友達としては怒るけどと続け俺、帰るわーと普段の間延びした口調に戻った坂田はひらひらと手を振って行ってしまった。後は俺次第。ずり下がっていた鞄を持ち直しまずは連絡先だなとこれからのことに溜め息をついた。



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