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 恋のサレンダー



※死ネタ、ヨハン亡くなってます。

もっと早くに好きだと伝えられてればよかった。・・・なんて今更遅すぎる後悔を口にしたって世界は何事もなく回り続けるだろう。
色んな事にたいして後悔をしている。もっと勉強しとけば良かったとか、もっと人に優しくしてればよかったとか、もっと、早くに想いを伝えてれば良かったとか。

『何度目だい?』

隣にいるユベルが声をかける。
緑の丘の上、ひとつの墓標の前に俺はいた。ここへ墓参りにくるのは俺だけだ。この中で眠る彼の両親はとっくに他界しているし、何より、仲間はみんな天国へ行ってしまった。彼を知って、墓参りできるのは俺以外いないのだ。唯一長く生きている俺しか。

「忘れた。それほど季節が巡ったんだな」
『こいつが死んで二百回は越えてるんじゃないか?』
「そんな来てたかー?」
『ああ、それほどまで毎年ここへ来ては君は泣いてたよ』

友人が死んで悲しいのは当たり前だ。何年経っても忘れられない。一緒に笑って過ごしてきた仲間が逝ってしまうのだから。でも、彼だけは違うんだ。彼・・・ヨハンだけは。
単刀直入に言えばヨハンが好きだった。同姓に恋することに罪悪感もあったが、仕方ない、好きになってしまったんだ。いつか想いを打ち明けようとした最中、自分は一生生きていく運命を背負い、なかなか言い出せなかった。やがて色々考えていくうちに言わない方がいいのでは、なんていう結論に至った。それが間違いだった。

なにも言えぬままヨハンは死んだ。

「ばっかだよな〜。あのとき素直にいっとけば少しは楽だったのに、今更言ったってただのエゴだよな・・・」

ごめん、ごめん、て繰り返したあとの好き。
最悪だよな。ごめんな。でも、好きなんだ。今でもずっと。変わらない想いだけ背負ってズルズル引きずって。そんでもってまたごめん。

「こんなことなるぐらいなら好きって伝えればよかった」

遅すぎた後悔はどこまでも追いかけてくる。また来年も、そのまた来年もこうしてここで俺は泣いて謝るんだろう。

生まれ変わったときには言えるように。
だからいまはどうか安らかに、おやすみ。

恋のサレンダー
(君がくるのが待ち遠しい。)







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