小説 | ナノ


 03



「ヨハン、ヨハンっ」
「十代?どうしたんだ?」
「え、あ、いや。呼んでみただけ?」
「なんだそりゃ」
「…今帰りか?」
「ああ」
(なんか十代と初めて、まともに会話してる気がする…)
「そ、そっか。気をつけて帰れよ」
「あ、十代!」
「なに?」
「あー…いや、またな」
「おう、またなっ」


((一緒に帰らないかって言えなかった))



「十代は悪い子十代は悪い子ぉお!」
「何タンスに頭打ちつけて宇宙人のせりふ言ってんだ…」
「ああぁぁァ…兄ちゃん…もう俺は明日から、どうヨハンに…あああァ」
「とりあえず飯は?」
「食う」



「お、おはよ。ヨハン」
「おはよ、十代」
「……」
「……?」
「くたばれイケメン」
「!?」



「万丈目万丈目万丈目まんじょめぇえええええ」
「最後言えてないぞ!」
「ヨハンにおはようって言ったのにぃいいいー、くたばれとかぁああ、言っちゃったんだよおおおぉ」
「本心だからじゃないのか」
「くたばれ万丈目ぇえええ」
「くたばるか!」
(今日も可哀想だな万丈目)



「こんにちは皆さん。ヨハンとデュエルしか考えられない遊城十代です」
「誰に挨拶してんすか…」
「今、ヨハンを尾行中です」
「ストーカーだからねこれ」
「あ、可愛いお店に入って行った!」
「話聞けよ」
「何買うんだろ……マフラー?赤いマフラー…だ、誰かのプレゼント?」
「みたいだねー」
「ま、まさか、もうヨハンにはそういう相手、が!」
「いや、話は聞いたことないっすよ」
「じゃあ誰に?…に、兄ちゃん…とか」
「あー」
「うわああああああ」
「うるさい!!」



「んで十代くん。君は包丁を片手に何してんのかな」
「よ、ヨハンは、ヨハンはやっぱ、二十代のことっ…」
「は?」
「俺が兄ちゃんの代わりになってやるからぁあああ!」
「落ち着け馬鹿十代!」



二十代兄に殴られました。
「うう…痛い…」
「頭冷やせ馬鹿」
「…今日さ、ヨハンを尾行したらさ」
「またストーカーか」
「尾行」
「ストーカー」
「尾行!尾行なの!」
「はいはい尾行でいいよ!で?」
「それで、可愛いお店で赤いマフラー買ったんだよ…ヨハンには彼女は居ないっていうし」
「最近連んでる俺に渡すものかも、ってか?」
「うん」
「やっばり馬鹿だこいつ」



「よ、十代」
「おはようイケメンヨハンくん…」
「どうした、やつれてんな」
「ハハ、誰のせいだろーなー」
「それよりこれやるよ」
「え?」
「お前、マフラーつけてないだろ?風邪引くと思って」
「こ、こ、これ、き、きのっ…きのっ…昨日、あの可愛い店、で、かかかかっ」
「動揺し過ぎだろ」
「に、兄ちゃんに渡すもんだと…」
「はあ?なんであんなビッチにマフラーなんか…いらないなら良いけど」
「いるいる!いります先生!」
「ヨハンな」



「よ。気持ち悪いヨハン」
「よ。ビッチな二十代」
「殴るぞ?」
「既に殴ってるよな毎回!」
「昨日、可愛いお店でマフラー買ったんだろ?」
「なんでお前が知ってるんだ」
「昨夜、包丁向けながら十代が言ってたんだよ。俺に渡すものかもって」
「包丁っておい…」
「十代に買ってきたんだろ?」
「ああ」
「で、俺には無いのか?」
「キスマークでも隠すマフラーでも買えよ自分で」
「これはオシャレだっつの」
「はいはい」






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