小説 | ナノ


 空に恋をした



窓を開けると少し湿っぽい匂い。君は相変わらずニコニコとしていて、白い絵の具が君を彩った。七色に輝く橋は、俺と君の架け橋。今日も太陽と浮気か?いやだな。俺と言うやつが居るのに。ずるい。ちょっと妬ける。

「なあ、どうして人と人はひとつになれないんだろうな」

俺も、精霊だったら良かったのに。いや、俺じゃなくて君がか。ニコニコ。無口な君はいつだってそう、俺を見守るのだ。見守るだけ。つまらないな。三十分もすれば架け橋は消える。お話はおしまい。また明日な、て手を振れば、君は笑ってくれた気がする。
次の日もこんにちは。架け橋は相変わらず爛々としていて、みんなを魅了する。明日香や翔たちがはしゃいでたぜ。良いな、君はいつだって人気者だ。俺だって負けてられないけどな。人気者、じゃなくて皆に。君を想っているのは俺だけで充分だろ?
次の日もこんにちは。あれ、今日は架け橋がお休みなのか。それじゃあ君とお話しは出来ないな、残念。また明日、君との架け橋がありますように。

次の日も、次の日も、架け橋は俺らを繋いではくれなかった。

「なあ、知ってたか?虹は人工的にも作れるんだぜ。だけど、駄目だった。皆は綺麗だとかはしゃいでたけど、駄目なんだ」

君に届く、大きな架け橋にはなってくれない。ああ駄目だ、いやだ、君と、君と会えなくなってしまう。ああ、アア。

「俺らを繋いでくれ、」

最初から知っていた。
本当はもう、虹は出ないのだと。もう俺たちは会えないのだと。綺麗に描かれたアーチの先、君にはもうたどり着けないのだと。だけど、いつか必ず、君を探すよ。

「また、何処かでな。『ヨハン』」








彼は空に名前をつけた。「そうだ。これからお前は『ヨハン』だ!」虹が出た時だけ、彼らの架け橋となり繋いでくれる。唯一、彼と触れ合える時間。幸せだった。否、残酷であった。虹という架け橋は毎日出ることは無い。稀にしか姿を見せない。だから、いつか彼と会えなくなるのも知っていた。

「ああ、『ヨハン』……おまえは、何処に居るんだよ」

この世界の、何処に。


空に恋をした

(虹よ繋いでくれ)
(俺と、『彼』の元へ)



ヨハンがどっか行っちゃって、十代がただ待っている感じ…だったはずなんだが…な…あれれ…



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