にがい
それはいつものこと。
「シャークー、遊ぼーぜー」
「暑い、ひっつくな」
「ゲームばっかして、恋人は放置プレイかよー」
ぐだぐだと遊馬の家で、ゲームに夢中な凌牙は腰に巻きつく恋人を軽くあしらう。だがそれが気にくわないのか、もっと邪魔してやろうと、強く腰にまとわりつく。
「暑い」
「これから寒くなりますうー」
「今暑いんだよ、離れろ」
「んじゃ、構えよー」
さっきからゲームばかりに夢中な彼に、少し嫉妬なんかしてみたりして。だけど凌牙にはそんなの伝わりもせず、相変わらず視線はテレビに。暫くは大人しくしていたが、段々とイライラして来た遊馬は、思いっきり、ゲーム機の電源を落とした。いきなり画面が真っ暗になるテレビに、やっとこちらを向いた。
「てめぇ、あと少しでボスだってのに」
「どうせ倒せないから良いじゃん」
「ふざけんな。あー、なんか疲れた」
「オレと遊べよー」
倒れ込んだ腹へと、遊馬も倒れ込むと「疲れたから嫌だ」と頑なに断られた。両頬を膨らませ、ジタバタ腹の上で暴れると、痛い、と今度は殴られた。
「先輩、遊びたいんですけど」
「一人で遊んでろ」
「なんのために、シャークといるんだよ!外行こうぜ、デュエルしよーぜ」
なあシャーク、なあ、なあってば。眠りに入ろうとする凌牙を揺するが、無反応。何か言うのも疲れた遊馬は、凌牙の隣で横になり、同じように寝ようとした。が、その前に抱きしめられ、寝るどころじゃない。
「な、な、なんだよっ、」
「構って欲しかったんだろ?」
「そ、だけど、な、ちょ、どこ触ってるんだよっ!」
彼の手つきがいやらしく、遊馬の太ももを撫でると、ぐりん、と馬乗りになり服を脱がせようとする。それに慌てて抵抗するが、力の差。全く身動きができず、余計に行動の手助けしてしまっている。
「遊んでやるよ。中で運動も、たまには良いだろ?」
「……シャークの、ばか。噛むぞ」
「どうぞご勝手に」
整った顔が近付く。
やっぱりカッコイイな、なんて思いながら甘いキスをかわす。
「すき」
「ああ、」
「もーいっかいキスして」
「お望みどーり、」
ねえ、
にがい
(タバコやめろよ)
(それは却下)