小説 | ナノ


 オリオン



※十代が頭おかしい子

ただ音色を集めた。もう良いじゃない?なんてつまらない言葉を吐き捨てた。ピアノが歌う。君の目の前で、楽しい音楽祭。なあ、聞こえるか?この鼓動の音。ねえ、聞こえるだろ?この悲痛な音。芽吹く感情におさらば。いやいや、それは良いですって、なんて、やだな、遠慮しないで。妄想からこんにちは。もう脳内のきみと話すのは飽きたとこだったんだ。声を紡ぐことをやめた無口な君。ねえ、ねえ、

「つまんないな。まだこれからだ」
「……じゅ、だい」
「ヨハン。デュエルしようぜ、勝ったら…オレを殺して良い。オレが勝ったら、」

さて、何にしようか?ニコニコ。いつものお前らしくない、そんなの知ってますとも。カードちらつかせ、さあゲームのはじまりだ。祝福するような音色。ピアノが歌うことをやめた。さて、さて、楽しい楽しいゲーム。君の選択肢、聞かせて。
先に崩れたのは君で、アララ、ライフはゼロですね。こちらの勝ち。さてどうしようか?

「…オレを、殺すのか?」
「それも面白そうだな」

床に叩きつければ、白い喉を絞める。酸素を失う肺は、必死に呼吸を繰り返した。無様で可愛らしい。このまま喉を噛み千切って、食べてしまえたら良いのに。君を胃に収めれば幸せだろうに。夜空は金平糖を散らばせ、楽しそうに笑う月はただジッとそのまま見つめるだけ。

「十代、おま、えは…おか、しい!」
「そうさせたのは誰だろうな。まあ、そんなことは良いんだ」

ぐっ、口元を喉に近寄せられ、死ぬ、君は目を強く閉じた。ねえ、聞こえるだろ?この悲痛な音。だからさ、つまり、

「………たすけて、」

これ以上、狂った世界に居たくないんです。助けてよ、マイダーリン。


オリオン

(君のその言葉で、)
(狂ったこの鳥獣のような心を殺してください。)




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